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2022 年度 実施状況報告書

深海底に沈む木材をニッチとした深海生菌類:その多様性と未知有用機能

研究課題

研究課題/領域番号 21K06328
研究機関国立研究開発法人海洋研究開発機構

研究代表者

長野 由梨子  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), 研究員 (30512917)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード深海 / 真菌類 / 沈木 / Oceanitis / Ceriosporopsis / 海生菌類 / アンプリコン解析 / 海洋プラスチックゴミ
研究実績の概要

2022年度は、5月の研究航海において、約1年前に異なる4地点の深海底に設置した木材4種(スギ、マツ、ブナ、ミズナラ)の回収を行った。設置前のサンプルと1年後に回収したサンプルからRNAとDNAを抽出し、ITS rRNA領域を用いた真菌アンプリコン解析を行った。木材中の真菌相にどのような変化があったのか、現在解析中である。また今後設置2年半後のサンプルについても回収を行い、解析を行う予定である。
10月に参加した調査航海では、深海底より植物片やプラスチック片のサンプリングを行った。各サンプルより真菌類の分離培養を行い、多くの培養株の取得に成功した。
2021年度にサンプリングを行い解析を進めていた深海底に沈んだ植物片における真菌多様性については、詳細な解析が進み、深海生菌類Oceanitis scuticellaは水深や海域に関わらず深海環境中の植物基質に高頻度で存在することが明らかとなった。また、水深5mの浅海より回収した試料からは海生菌類であるCeriosporopsis halimaと高い相同性を示す配列が優占して検出されたが、深海由来4試料からは、C. halimaと近縁だが別種と推定される配列が優占種として検出された。このことからC. halimaと近縁な深海種が存在することが示唆された。深海における植物由来有機物の分解には、Oceanitis属やCeriosporopsis属をはじめとした深海生菌類が大きく貢献していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度も年2回の調査航海に参加し、順調にサンプリングや解析が進んだ。

今後の研究の推進方策

今後は、2022年度に回収した設置木材、プラスチックゴミ、設置プラスチックサンプルの解析を進めていく。また、これまでに分離した真菌株について詳細な解析を進めるとともに、偏性深海性菌類を含めた深海由来菌類のゲノム解析などを進めていき、その遺伝的特徴などを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

今年度も新型コロナウイルスの影響等により学会参加ができなかったため、旅費として計上していた予算を使用しなかった他、外注解析が他予算によって行えたことなどが挙げられる。当該助成金については、次年度の学会発表のための旅費や研究補助員の人件費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Ecological and Oceanographic Perspectives in Future Marine Fungal Taxonomy2022

    • 著者名/発表者名
      Wijayawardene Nalin N.、Dai Don-Qin、Jayasinghe Prabath K.、Gunasekara Sudheera S.、Nagano Yuriko、Tibpromma Saowaluck、Suwannarach Nakarin、Boonyuen Nattawut
    • 雑誌名

      Journal of Fungi

      巻: 8 ページ: -

    • DOI

      10.3390/jof8111141

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 深海環境における真菌多様性2022

    • 著者名/発表者名
      長野由梨子
    • 学会等名
      第42回糸状菌遺伝子研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 深海生菌類 ー未知なる多様性と可能性ー2022

    • 著者名/発表者名
      長野由梨子
    • 学会等名
      第82回海洋教育フォーラム
    • 招待講演
  • [学会発表] 深海調査研究のご紹介 ―深海生菌類の多様性と可能性ー2022

    • 著者名/発表者名
      長野由梨子
    • 学会等名
      第93回日本衛生学会学術総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 海洋由来の真菌を対象としたエキスライブラリの構築と生物活性物質の探索ー海底堆積物から 単離したPenicillium属真菌の成分に関する研究ー2022

    • 著者名/発表者名
      手島 徳哉、人羅 勇気、長野 由梨子、塚本 佐知子
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会

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公開日: 2023-12-25  

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