研究課題/領域番号 |
21K06358
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
近藤 恵 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (40302997)
|
研究分担者 |
藤田 祐樹 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (50804126)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 旧石器時代 / 日本人の起源 / 人骨 / 動物骨 |
研究実績の概要 |
本研究においては、①以前より研究継続中の浜松市浜北区根堅遺跡について、これまでに出土した遺物の分析を進めることと、②新たな研究対象として同区堀谷洞穴遺跡について、発掘調査を実施し、新たな研究資料を得ることを主な目的としている。 ①の根堅遺跡については、出土遺物の中から研究対象として適当な骨資料を選定し、化学的分析を進めている。一方、同遺跡においては、集中的な大雨により、化石骨を包含する堆積物の自然崩落が生じた(2021年7月)。この堆積物は、これまで安全面の理由から調査対象としていなかったが、偶然にも崩落により内包する化石骨が露出する状況となったため、急遽、調査を実施した。崩落直後に観察したところ、地面に達しているもののほか、崖面に崩落物が保持されているものもあったため、それら双方を回収し、水洗によって内包物を確認した。崩落物中に、特に重要と思われる骨資料等は現時点までに確認されていないが、崩落を免れた崖面においてin situで特筆すべき動物骨化石が発見された。現在、この化石について分析を行うべく準備を進めている。 ②の堀谷洞穴遺跡については、洞穴部および前庭部の測量を実施し、洞穴内部の構造を明らかにした。また、具体的な調査区の目処を立て、次年度の調査について具体的な計画を立てることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①の根堅遺跡については、予定外であったが新たな資料を得ることができたことが初年度調査の成果であり、今後の分析により知見を得ることで、当遺跡に関する解釈がより深まることが期待される。また、②の堀谷洞穴遺跡については、初年度に予定していた調査に着手し、長年計画していた調査の第一歩をようやく踏み出すことができた。①で予定外の調査に時間をあてなくてはならなかったことと、コロナ禍が続いたため、十分な準備ができず、当初計画していた調査内容よりは縮小せざるを得なくなり次年度へ保留した部分もあるが、一年間の活動量としては、ほぼ予定通りにできたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
①の根堅遺跡については、以前の調査で回収した資料の分析をさらに進め、結果をまとめる予定である。また、初年度の調査により新たに得られた資料について、多方面からの分析を順々に進めていく予定である。②の堀谷洞穴遺跡については、初年度の予備的な調査の結果を踏まえ、洞穴前庭部の試掘を実施する計画を立てている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
堆積物の自然崩落という不測の事態に急遽対処する必要があったことと、コロナ禍が続いたため、調査準備のために現地へ出向く回数が予定より少なくなり、準備が十分にできなかったこともあり、計画していた調査内容を縮小したことが、すべての費目について大きく影響している。初年度に実施しなかったことは、次年度以降に実施するため、今後の調査において研究費を使用する予定である。
|