研究実績の概要 |
近年,明らかになりつつあるエピジェネティクスという概念を遺伝子解析に取り入れることで,同じ遺伝子型でも多様性があることを明らかにすることが本研究の目的である.これまで,ヘテロクロマチン領域でサイレンシングされてほとんど働かない遺伝子と,逆にユークロマチン領域で転写活性化している遺伝子は,従来の遺伝子型のみの判別では同じ型と判定されてきた.しかしながら,本科研費採択前の我々の研究成果では,必ずしも遺伝子型=表現型とはならないケース,すなわち,αアクチニン3遺伝子型と運動の嗜好(preference)(瞬発系運動か持久系運動のどちらを好むか)が明らかとなった(Kawamura et al., 2021).さらに,脚伸展力(最大随意脚筋力)を被験者の体重で除した体重支持指数(Weight Bearing Index; WBI)とACTN3遺伝子多型との関連を調べたところ,脚伸展力と除脂肪体重に遺伝子多型間の差異はないが,XX型のWBIはRR型とRX型よりも有意に大きいことが明らかになった[1].XX型においてカルシニューリンの作用による代償的な筋力発揮が抗重力筋でなされている可能性が推察された. [1] Azuma A, Kawamura T, Matsui K. Is ACTN3 R577X genotype associated with weight-bearing index in male college students? In W. Spratford, C. Coltman, N. Brown, & J. Warmenhoven (Eds.), Proceedings of the 39th International Conference of Biomechanics in Sports, pp. 380-383, 2021.
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