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2021 年度 実施状況報告書

エピジェネティクスの手法を用いた筋機能関連遺伝子解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K06367
研究機関福井工業高等専門学校

研究代表者

川村 敏之  福井工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (80413772)

研究分担者 松井 一洋  福井工業高等専門学校, 一般科目(自然系), 准教授 (10805055)
東 章弘  福井工業高等専門学校, 一般科目(自然系), 教授 (50546257)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードACTN3 / Epigenetics / Muscle strength / Physical fitness test / Mechanical efficiency / Stretching
研究実績の概要

近年,明らかになりつつあるエピジェネティクスという概念を遺伝子解析に取り入れることで,同じ遺伝子型でも多様性があることを明らかにすることが本研究の目的である.これまで,ヘテロクロマチン領域でサイレンシングされてほとんど働かない遺伝子と,逆にユークロマチン領域で転写活性化している遺伝子は,従来の遺伝子型のみの判別では同じ型と判定されてきた.しかしながら,本科研費採択前の我々の研究成果では,必ずしも遺伝子型=表現型とはならないケース,すなわち,αアクチニン3遺伝子型と運動の嗜好(preference)(瞬発系運動か持久系運動のどちらを好むか)が明らかとなった(Kawamura et al., 2021).さらに,脚伸展力(最大随意脚筋力)を被験者の体重で除した体重支持指数(Weight Bearing Index; WBI)とACTN3遺伝子多型との関連を調べたところ,脚伸展力と除脂肪体重に遺伝子多型間の差異はないが,XX型のWBIはRR型とRX型よりも有意に大きいことが明らかになった[1].XX型においてカルシニューリンの作用による代償的な筋力発揮が抗重力筋でなされている可能性が推察された.
[1] Azuma A, Kawamura T, Matsui K. Is ACTN3 R577X genotype associated with weight-bearing index in male college students? In W. Spratford, C. Coltman, N. Brown, & J. Warmenhoven (Eds.), Proceedings of the 39th International Conference of Biomechanics in Sports, pp. 380-383, 2021.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺伝子型=表現型とは必ずしもならないケースはαアクチニン3遺伝子型と運動の嗜好(瞬発系競技と持久系競技のどちらを好むか)を調べた我々の報告からすでに明らかとなっていることから(Kawamura et al., 2021),採択された本科研費ではエピジェネティクスの手法によってほとんど働かない遺伝子と活性化している遺伝子の解析を試みる.一方,未だ希少である一般人のACTN3遺伝子多型と運動機能の関係についての研究を遂行中であり,遺伝子多型と体重支持指数との関係を調べた研究は昨夏に国際学会にて発表され,査読論文(proceedings)としても刊行された.また,フィールドテストと遺伝子多型の関係についても統計分析が終了し,近く,成文論文として投稿予定である.さらに,RR型とXX型を抽出した被検者グループ間で,XX型の持久性能力や(αアクチニン3が構造タンパクであることに着目して)RRの柔軟性を自転車エルゴメーター作業の機械的効率やストレッチングの一過性効果の観点から調べる実験研究をそれぞれ進めている.

今後の研究の推進方策

αアクチニン3遺伝子のエピジェネティクスに関連する実験として,CpGアイランドのメチル化解析を進めており,現時点でRR型被検者をメチル化タイプと非メチル化タイプに分類することが可能となりつつある.RR型の母数を大きくするためには相応の資料サンプルを得る必要があるため,高等教育機関での遺伝学教育を図りつつ,被検者集団の確保に努めている.十分な被検者数(RR型)で前者と後者のグループを構成することができれば,両者間の運動機能をフィールドテストとラボテストの項目で比較することが可能となる.然るに,それらの結果が「遺伝子型=表現型とならないこと」に関連するのかどうかを明らかにすることが本研究の最終的なゴールであり,それを踏まえてスポーツや医療において活用され得る高精度の筋機能関連遺伝子解析法の構築を目指す.

次年度使用額が生じた理由

今年度購入した呼気ガス分析装置(VO2測定器)の消耗品等の維持費,遺伝子・エピジェネティクス解析に関わる消耗品類などおよび成果の公表にかかる論文の英文校正,投稿料,学会参加費等が次年度必要なため.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Is ACTN3 R577X genotype associated with weight-bearing index in male college students?2021

    • 著者名/発表者名
      Azuma A, Kawamura T, Matsui K.
    • 雑誌名

      In W. Spratford, C. Coltman, N. Brown, & J. Warmenhoven (Eds.), Proceedings of the 39th International Conference of Biomechanics in Sports

      巻: 39th ページ: 380-383

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Is ACTN3 R577X genotype associated with weight-bearing index in male college students?2021

    • 著者名/発表者名
      Azuma A, Kawamura T, Matsui K.
    • 学会等名
      39th Conference of the International Society of Biomechanics in Sports
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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