研究課題/領域番号 |
21K06375
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
原口 みさ子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (10244229)
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研究分担者 |
奥野 浩行 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80272417)
城山 優治 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90456195)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | zdhhc18 / 統合失調症 / 活動依存的 |
研究実績の概要 |
本研究は新規活動依存的パルミトイル化酵素遺伝子Zdhhc18の神経細胞、マウス個体における機能及び病態への関与の機構を明らかにすることを目的とする。 研究実施計画としては令和3年度に①免疫染色により大脳中、あるいは神経細胞中でのZdhhc18の局在解析を行う。②培養神経細胞へのZdhhc18の強制発現による形態変化解析を行う③大脳発達段階におけるKO神経細胞の形態、伸長の解析を行う。④ 令和4年度からのKOマウスの行動解析の準備を行う。⑤令和5年度から統合失調症様症状の解析を行う。であった。①Zdhhc18の局在解析については種々のzdhhc18の抗体を用いた免疫染色法では明確なシグナルが得られなかった。タンパク発現が低い可能性が高い。②初代培養神経細胞にZdhhc18を強制発現させる実験を行い形態変化を観察した。樹状突起の数、複雑さに有意な変化はみられなかった。③ICRマウスの胎児脳にZdhhc18を誘導的に発現させ形態変化を観察した。蛍光が十分でなくコンストラクトを作成しなおしている。④Zdhhc18欠損マウスの大脳における神経回路形成や神経細胞形態を解析するため、妊娠15日の胎児の大脳に蛍光タンパク質レポータープラスミドをin utero electrophoresis (子宮内電気穿孔法)で導入した。結果を解析中である。⑤5Zdhhc18欠損マウスの作成を行い、6代目までバッククロスが終了し。ヘテロマウス同士の交配で野生型、欠損型マウス 雌雄各20匹づつ確保した。オープンフイールド試験、バーンズメイズ試験、プレパルス抑制試験、恐怖条件付け試験などの行動実験を行っている。 ①から⑤5はいずれも実験系を確立することができ局所解析以外は何らかの結果を得ることができると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Zdhhc18の局在解析は重要だがいまだに結果が得られていない。Insituで調べるなど何らかの感度の高い解析法を試みなければならない。 初代培養細胞を用いたzdhhc18強制発現の影響は一応観察したが、有意な差がみられていない。マウス脳内の細胞に強制発現させた場合の結果もまだ出ていない。プラスミドを改変し蛍光の高いもので解析しなおす予定である。 野生型マウス、ノックアウトマウスにおける神経形態、神経回路の比較もまだ結果解析の途中である。 行動解析用マウスは十分な数が準備できたがSPF環境で飼育していなかったため行動解析を行う施設に送付することができなかった。現在、研究室内で実施できる行動解析実験を行っている。またSPF内でマウスを人工授精にて大量に準備する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
①Zdhhc18の局在を調べるためinsitu hybridizationを行う。感度が高く系が確立しているRNAscopeなどを試したい。②マウス脳内にZdhhc18を発現させる系を確立する。ZDHHC18の誘導系でcre発現ベクターも同時に導入しzdhhcーachillesを発現させることができた。しかしながらAchillesの蛍光が十分でない。強力なプロモーターのコンストラクトを作成しなおし解析する。③野生型マウスとKOマウスの胎児脳にCAG-GFPを導入し神経形態、回路に差があるかどうか確認する。④ 統合失調症の特徴であるプレパルスインヒビションの低下がみられたら超音波発声を比較する(統合失調症では発声の抑揚がなくなる) ⑤そのほか行動に差がみられたら脳内の責任部位にCAG-GCaMPなどのウイルスベクターを導入し野生型マウスとKOマウスで活性に差がみられるか解析する
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費に関しては研究室に既に試薬などのストックがあり今年度の支出が少なかったため
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