神経筋接合部(NMJ)は運動神経と筋肉を結ぶシナプスである。研究代表者は胎生期の神経筋接合部の形態形成と機能にCtgfがLrp4と結合し、Lrp4たんぱく質が細胞膜上に維持されることが必要であること報告した。Lrp4が胎生期だけではなく成体NMJの維持にも必要であることが分かっているため、本研究では、Ctgfやそれが属するCcnファミリー因子が同様にNMJの維持に必要であるかを検討した。令和5年度は、エレクトロポレーション技術を用いCtgf(Ccn2)遺伝子やCcnファミリー遺伝子に対するshRNAと同時にヒトCtgfのcDNAをCtgf+/-マウス前脛骨筋筋繊維に導入しCcnファミリー遺伝子の発現制御を行った。そして2週間後にこのマウスの①歩行時の筋力をCatWalk systemやビームテスト(網でできた橋を渡る際の踏み外すステップの数と速度を測定する)で評価し、それぞれの前脛骨筋の筋力と運動能力の評価を行った。次に、②前脛骨筋の筋繊維を繊維ごとに顕微鏡下でばらばらにし、それぞれの神経筋接合部の大きさや形態を免疫染色で確認後、Metamorphソフトウェアで測定・解析した。 実験①②を行って検討した結果より、マウスCcnファミリーに属する3つの遺伝子が筋力の維持や神経筋接合部の形態の維持に必要であることが明らかとした。しかし、それぞれの遺伝子の発現量が他の遺伝子の発現量を変化させ、またそれぞれの遺伝子の役割の違いや大きさも散見されたことから、一つ一つの遺伝子がどのように機能しているのかについては疑問が残った。
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