研究課題/領域番号 |
21K06396
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐野坂 司 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40588472)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エンハンサーRNA / エピジェネティクス / 神経幹細胞 |
研究実績の概要 |
エンハンサーと呼ばれるゲノム領域は数百塩基の長さからなるが、そこに転写因子が結合すると標的遺伝子の発現にスイッチが入ることから、エンハンサーは遺伝子の発現制御において中心的な役割を担っているといえる。また、近年複数のエンハンサー領域が協調的に働いているということが報告され、1領域の解析ではなく、ゲノム全体でエンハンサー領域を網羅的に捉えることが重要である。 本研究課題では、神経幹細胞特異的エンハンサーの同定に加え、その中でもエンハンサー活性を持っている真のエンハンサーの同定を試みた。近年、エンハンサー領域からはenhancer RNA(eRNA)と呼ばれるnon-coding RNAが発現しているという報告がなされていることから、そのeRNAの発現を条件として候補領域を705箇所同定した。それら領域には、既に神経幹細胞のエンハンサーとして知られる領域が多数含まれており、精度良く実験系が機能していることが確認できた。 また、eRNAとmRNAの発現を1細胞レベルで解析可能なRamDA-Seqを行い、エンハンサーの標的遺伝子の同定を試み、既知遺伝子に加え、新規の標的候補遺伝子を複数同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度では、エンハンサー活性のある真のエンハンサーの同定を試みており、eRNAの発現とヒストンアセチル化等のChIP-Seqのデータを統合することで705箇所のエンハンサー候補領域を同定できており、予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今までに同定したエンハンサー領域とその標的遺伝子の発現に関して、遺伝子発現制御がどのような機構で行われているのかを解析する。まずは、エンハンサー活性に強い相関があると報告されているeRNAの発現を制御することで、標的遺伝子の発現への影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
各種転写因子を用いたChIP-Seqでの解析において、公共のデータベースから情報を得ることができた為、ChIP-Seq解析に予定していたライブラリー作成、次世代シーケンスを行わずに解析が可能であった。 標的遺伝子のバリデーションの1つとしてRamDA-Seqを行っているが、シーケンス量を増やすことで精度が増すため、シーケンスを追加して行う費用とする。
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