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2023 年度 実績報告書

神経線維伸長を制御する核内分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06408
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

勝山 裕  滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10359862)

研究分担者 金田 勇人  滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40528212)
井原 大  滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40884367)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード皮質ニューロンの発達 / 神経変性
研究実績の概要

Sbno1は複数のヒトゲノム解析によって統合失調症や精神遅滞に関連した遺伝子の1つと指摘されてきた(Girard et al., 2011; Ripke et al., 2014; Bulayeva et al., 2015; Thyme et al., 2019など)。一方で、我々は大脳皮質の発生に関わる新規遺伝子のスクリーニングの結果Sbno1を同定した(Baba et al., 2007)。
そこで本研究計画では大脳皮質でのSbno1の機能について知見を得るためにSbno1ノックアウト(KO)マウスを作成した。このマウスは生後3週目には痙性麻痺を呈するようになる。生後3週目のKOマウスの脳を組織観察すると、大脳皮質の低形成が見られた。その原因を調べるために鍍銀染色を行ったところ、大脳皮質錐体ニューロンの樹状突起と軸索の発達が悪いことがわかった。さらに大脳皮質ニューロンの一次培養を行い顕微鏡下で神経線維の発達を観察したところ、線維の伸長が遅いことがわかった。Sbno1は核内因子であるので神経線維の発達についてニューロンで内在的に働いていることが示された。
KOマウスの大脳皮質をさらに組織学的に調べたところ、散漫にTUNEL陽性の細胞が生じていることがわかった。しかしSbno1がアポトシスを直接抑制しているのであれば、Sbno1欠損ニューロンは全てアポトシスを起こさなくてはならない。Sbno1はヘリカーゼであるのでゲノムDNAに対して何らかの働きをしているはずである。実際にSbno1KOマウス大脳皮質でDNA損傷応答分子が上昇しており、コメットアッセイからSbno1欠損ニューロンではゲノムDNAが激しく損傷していることが示された。つまりSbno1はニューロンのゲノムDNAを保護する役割を果たしており、この分子機能が神経線維の発達に必須であることがわかった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Genomic variation in neurons2023

    • 著者名/発表者名
      Zolzaya Sunjidmaa、Narumoto Ayano、Katsuyama Yu
    • 雑誌名

      Development, Growth & Differentiation

      巻: 66 ページ: 35~42

    • DOI

      10.1111/dgd.12898

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ニューロンのゲノムの多様性2023

    • 著者名/発表者名
      井之口文月、勝山裕
    • 雑誌名

      滋賀医科大学雑誌

      巻: 36 ページ: 28-35

    • DOI

      10.14999/1521.0001350

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 大脳皮質ニューロンにおけるアポトーシス関連遺伝子発現制御2023

    • 著者名/発表者名
      成本彩乃、井原大、寒出祐紀恵、林朋樹、中坊豪克、金田勇人、勝山裕
    • 学会等名
      第128回日本解剖学会総会
  • [学会発表] 神経幹細胞のニューロン産生における p53 の新規制御機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      井原大、金田勇人、勝山裕
    • 学会等名
      第127回日本解剖学会 全国学術集会
  • [学会発表] Functional significance of the point mutation in SBNO1 gene of an autistic patient2023

    • 著者名/発表者名
      Sunjidmaa Zolzaya, Yu Katsuyama
    • 学会等名
      第99回 解剖学会 近畿支部 学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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