研究課題/領域番号 |
21K06412
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
田中 雅樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80264753)
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研究分担者 |
渡邊 義久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50363990)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オートファジー / 神経細胞 / GFP-LC3 / トランスジェニックマウス |
研究実績の概要 |
神経特異的なオートファジー活性可視化マウスの解析に取り組んでいる。 既に研究室で作製して個体化した、syn1プロモーター下にニューロンに発現する、SYN1-GFP-LC3-RFPトランスジェニックマウスの脳組織発現についてまずは刺激を行わずに、脳全体について調べた。嗅球、線条体、海馬、橋核などにGFPを発現する細胞が出現した。NeuNとの共存が見られ、これら発現細胞はニューロンであることが確かめられた。特に嗅球には軸索や樹状突起のような突起にGFPが出現し、RFPは主に細胞体に見られた。RFPは大脳皮質や海馬に発現があり、領域によって、ベースのオートファジー活性が異なることが示唆された。選択的オートファジーのマーカーである、p62との共存が海馬や大脳皮質の神経細胞で、GFP、RFPと共存が認められた。局所的にオートファジー活性化を促進させるために、ラパマイシンをシリンジで投与すると、インジェクションサイトで、GFPおよびRFPの両方が発現増強し、これは対照群の生食投与でも認められ、調べると脳傷害でオートファジーが亢進することがわかり、どうするか検討中である。初代神経培養細胞ではオートファジーを抑制するメフロキンを投与すると、GFP陽性の凝集体が細胞内に形成され、抗LC3抗体でも陽性が認められた。ただ、このトランスジェニックマウスの繁殖が野生型に比べると悪く、なかなかホモ接合体のマウスが生まれず、GFP-LC3やRFPの細胞内動態について、生化学的な評価を含めて、今年度詳細な検討を行う予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目はトランスジェニックマウスの脳組織における各領域のGFP-LC3とRFPの発現を検索して、実際に組織発現を蛍光顕微鏡で確認できた。その結果、脳領域で発現に差があったり(オートファジー活性に差がある?)、細胞体と神経突起でも発現に差がみられることが分かった。オーファジーを促進させるラパマイシンを投与する実験で、脳組織の傷害そのものが、障害部位のオーファジーを活性化させることも判明し、薬剤の脳局所投与が難しいことも判明した。 ただ、SYN1-GFP-LC3-RFPトランスジェニックマウスやATG5 floxマウスの繁殖はそれぞれmateがかなり難しく、思った以上に時間がかかることが判明し、効率よく実験を進めることが求められている。
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今後の研究の推進方策 |
以下の2つの実験を進める予定である。 1.初代培養細胞を用いた検索:2022年度はマウス海馬初代培養細胞を用いた解析を行って、オーファジーを止めたり、促進させたりすることによる、GFP-LC3やRFPの細胞内動態を組織細胞化学的に詳細に検討するとともにLC3抗体や抗GFP抗体を用いてウエスタンブロッティングによりオートファジーfluxを調べ、生化学的にもオートファジーを表現しているかどうかを確認する。 2.ATG5 floxマウスを用いた解析:SYN1-GFP-LC3-RFPマウスとATG5 floxマウスを交配してホモマウスを作製する。マイクロシリンジにて、脳局所AAV-Creを感染させることにより、コンディショナルにATG5を脳局所でノックアウトしてオートファジーを止める。また、情動行動に関与する、ATG5 floxマウスの扁桃体、海馬、側坐核、分界条床核、前頭前野にそれぞれAAV-Creを感染させて、オートファジーを低下させる。その後、明暗選択箱試験、オープンフィールド試験、高架式十字迷路試験、強制水泳試験、尾懸垂試験などを行って不安、短期記憶、うつ様行動を解析し、オートファジー活性と脳機能の直接的な関係を検討、証明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初国内学会で発表する予定の旅費がコロナ禍のため、Web開催になったりして、旅費がほとんどかからなかった。トランスジェニックマウスの繁殖に時間がかかり、初代神経培養細胞における実験が進められなった。今年度の組織化学および培養、行動実験に使用する予定である。
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