研究課題/領域番号 |
21K06414
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
恒岡 洋右 東邦大学, 医学部, 准教授 (50549011)
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研究分担者 |
船戸 弘正 東邦大学, 医学部, 教授 (90363118)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 内側視索前野 / Creマウス / 性的二型 |
研究実績の概要 |
性的二型は性特異的もしくは性差のある行動の制御のいずれかに関わっていると考えられている。しかしながら、一部の例を除いてそのような脳の構造的性差が行動に与える影響は不明である。これまでの我々の検討から、内側視索前野・分界条床核・扁桃体において性的二型が存在し、さらにそこには少なくとも2つの細胞群が同所的に混在することを見出している。 これらの性行動における役割を明らかにする目的で、複数のCreドライバーマウスを作出もしくは導入した。これらのCreマウスが正常に機能しているかについて調べるため、Creの発現をCre依存的蛍光タンパク発現マウス系統を用いることで検討した。また、それらの蛍光タンパクの発現が、mRNAの発現と一致しているかについても検討した。その結果、全ての系統について、発現を確認することが出来た。ただし、1系統については予想よりも発現細胞数が少なかった。 これらのマウスの1系統を用いて、アデノ随伴ウイルスによる遺伝子導入を局所的に行い、Creを発現する細胞について、膜移行型GFPによる投射解析を行った。その結果、内側視索前野・分界条床核・扁桃体に位置するそれぞれの細胞は領域に関わらず同様な投射を持っていることが明らかになった。特に分界条床核と扁桃体の細胞に関しては双方向的な神経投射があることを確認した。ただし、内側視索前野の細胞に関してはその他の2領域への投射はこれまでのところ確認できていない。同様に、これらのマウスとアデノ随伴ウイルスを用いて神経活動の操作実験を行ったところ、内側視索前野の細胞の操作において性行動が変化するという表現型が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1系統で予想される発現が見られなかったものの、他のマウス系統は予想通りの発現が見られたので、今後の実験に用いることが出来ると考えられる。アデノ随伴ウイルスの実験系も順調に動いている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はCre発現が予想通りに観察できたマウス系統を中心として行動実験を進めていくとともに、投射解析も行っていく。Cre発現が予想よりも少なかった系統については、Cre発現と性ホルモンの影響を総合的に検討し、実験の利用可能性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内出張を控えていたことや、自宅勤務等により実験遂行を控えていたため。次年度はこの遅れを取り戻すべく、アルバイトスタッフを雇用することで賄う予定である。
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