研究課題/領域番号 |
21K06425
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
石川 太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (50547916)
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研究分担者 |
志牟田 美佐 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70609172)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 小脳 / 大脳小脳連関 / 光遺伝学 / オプトジェネティクス / 体性感覚 / 運動学習 |
研究実績の概要 |
大脳から小脳への連絡路には皮質橋小脳路(小脳顆粒細胞層への入力路)と皮質下オリーブ核小脳路(小脳プルキンエ細胞への入力路)という2つの伝達経路がある。本研究では、これらの経路を介して大脳から小脳へ受け渡される信号の特性(エラー信号、環境情報など)が脳状態(睡眠・覚醒)の違いによってどのような影響を受けるのかを明らかにし、運動学習やより高次な行動の制御における大脳と小脳の役割の違いを理解することを目的としている。実験系としては自然な睡眠・覚醒状態が得られる自由行動下の多電極記録と、細胞内記録が得られる頭部固定下の記録を並行して用いて多角的に検討していく。本年度は、自由行動下において大脳と小脳から同時記録する実験系を立ち上げた。この系では、長時間の自由行動中のマウスの覚醒・睡眠状態を、脳活動と筋電図記録から判別し、覚醒中、睡眠中、麻酔下の3つの脳活動状態で、周波数帯域ごとに活動性の相関を計測することができた。さらに、頭部固定マウスにおいては、2種類の遺伝子改変マウスを用いた光遺伝学的手法を用いて、小脳皮質においてプルキンエ細胞やその他の細胞の細胞種類を光応答に基づいて同定する方法を最適化した。また、マウスの口唇部や四肢の運動を高速動画撮影と深層学習画像処理プログラムにより定量的に評価する方法を導入した。これらにより、感覚刺激や自発運動による大脳小脳経路の特異的な活動を多面的に計測する環境が整いつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、新たな実験系である自由行動系の立ち上げが進んでおり、頭部固定実験系でも細胞同定方法に進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題として、頭部固定実験系だけでなく自由行動実験系においても光遺伝学的手法を活用していく。また、双方の実験系においてデータ取得を重ねて、感覚刺激の種類の相異による、大脳と小脳の活動の差異を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に高速カメラを購入する計画だったが、代用のカメラを入手できたため、これを用いて、本計画のために購入すべきカメラのスペックを再検討しており、次年度以降に購入する予定である。また、多電極記録用アンプについては本年度は研究協力者からの短期貸与品を用いたため、購入を来年度に延期した。学会渡航費については、当年度は学会がオンライン化されたため使用しなかったが、次年度以降に実地学会が開催され次第使用する。
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