研究課題/領域番号 |
21K06426
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
小出 哲也 帝京科学大学, 総合教育センター, 准教授 (30247837)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ゼブラフィッシュ / 終神経 / 神経ペプチド / 侵害受容 / 化学感覚 |
研究実績の概要 |
本研究では、ゼブラフィッシュにおける第0脳神経である「終神経」が侵害受容ニューロンとしての機能に着目して解析をすすめる。終神経は、ほぼ全ての脊椎動物の鼻に存在し、神経ペプチドGnRHを発現する。古典的な解釈によるGnRHニューロンは視床下部に位置し生殖関連機能を担う。しかしながら、視床下部外のGnRHニューロンである終神経が生殖機能をもつことを示唆するデータはほとんどなく、その機能の全貌は依然不明な点が多い。本研究では、侵害受容ニューロンとしての終神経の機能を単一細胞レベルで詳細に解析し、その生理的意義を確立することにある。侵害刺激を受容する感覚ニューロンかつ神経ペプチドニューロンとしての終神経の機能を解明し、痛み研究における新たな侵害受容ニューロンモデルとしての終神経研究分野を開拓することを目的とする。 先進ゲノム支援のサポートを受け終神経のRNA-seq 解析の結果、、終神経はGnRHだけでなく、カルシトニン遺伝子関連ペプチド (calcitonin gene-related peptide: CGRP)、ニューロペプチドFF(NPFF)、プロラクチン(脳下垂体前葉ホルモンの一種Prolactin: PRL)と複数の神経ペプチドホルモンを発現していることが判明している、そこで本年度の主要な研究目的は、終神経における神経ペプチド(GnRH、CGRP、NPFF、PRL) の mRNA発現パターンを詳細に比較することである。これら神経ペプチドの受容体についても同様にmRNA発現パターンを調べる。現在、作成済のトランスジェニック系統GnRH3:GFF;UAS:GFP(終神経の軸索にGFPを発現)を用いた解析することで、ペプチド/受容体の脳内分布範囲と終神経投射領域との関係を明らかにすることを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゼブラフィッシュ飼育設備の整備のため、当初の予定より各種実験の進行がゆっくりとなっている。現在、安定したゼブラフィッシュの供給が可能になり、それ移行は順調に実験が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
神経ペプチド摂動(機能亢進/機能阻害)のためのトランスジェニック系統の作成 機能亢進については、Gal4/UASシステムによる過剰発現系を計画している。すでにGnRH3:Gal4系統は作成済である。ここに、現在進行中のUAS:神経ペプチド(GnRH、CGRP、NPFF、PRL)系統を作成する予定でいる。両者を掛け合わせて、終神経特異的に神経ペプチドを過剰発現可能な系統を得る。機能阻害については、各種神経ペプチド(GnRH、CGRP、NPFF、PRL)に対するアンチセンスオリゴを用いたノックダウン(KD)とノックアウト(KO)フィッシュの作成を計画中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額として1873円生じたが、これは翌年度分と合わせゼブラフィッシュ飼育管理に使用する。
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