大脳基底核内の1つの経路である“ハイパー直接路”が運動調節に果たす機能を明らかにした。まず大脳基底核の細胞活動記録法の確立を行った。GPiに記録用電極を挿入し、運動皮質への単発の電気刺激に対する応答を記録した。皮質刺激に対してGPiは興奮-抑制-興奮反応の三相性の反応を示した。そして大脳皮質から視床下核へ投射する神経経路のみを選択的に破壊し、大脳基底核の出力部位であるGPiで細胞応答を記録した。運動皮質刺激に対する応答の内、早い興奮反応だけが消失しており、運動皮質から視床下核に投射するハイパー直接路は、運動制御において運動開始前の不必要な神経活動を抑える役割があることが示唆された。
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