研究課題/領域番号 |
21K06441
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
姜 英男 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 招へい教授 (50177755)
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研究分担者 |
八十島 安伸 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (00273566)
齋藤 充 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (50347770)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 青斑核 / α2A アドレナリン受容体 / 自己抑制 / 受容体内在化 / MAO-A / AEP / スパイク順応 |
研究実績の概要 |
本研究は、アルツハイマー病において最初期に細胞障害が現れる青斑核(LC)細胞と、その細胞死を防御しうる神経栄養因子NT-3を蓄積・傍分泌する可能性がある三叉神経中脳路核 (MTN)細胞との間の生理・解剖学的及び病理学的相互関係を解明することを目的とする。昨年度は、LCニューロンの細胞体からもノルアドレナリン(NA)の旁分泌が活動電位依存性に生じ、LCニューロン細胞膜上のα2Aアドレナリン受容体(AR)を介する自己抑制に起因して、スパイク順応がおこることを明らかにした。今年度は、こうしたスパイク順応を担うα2A AR-coupled GIRK channel が拘束ストレスにより内在化されることを免疫組織化学的方法により示し、さらに膜分画でのα2A ARタンパク発現が減少していることをwester blotting 法により示した。拘束ストレスを与える代わりに、LC核のスライス標本を用いて、LCニューロンからパッチクランプ記録を行い、positive pulse trainを与えて、細胞内Ca2+濃度を上昇させると、拘束ストレスと同様に、α2A AR-coupled GIRK電流が減少した。この減少は、barbadin(内在化阻害剤)を与えると阻害されたことから、リガンドとCa2+依存性にα2A ARの内在化が生じたものと考えられる。スパイク順応の消失に伴う興奮性の上昇の結果、LC細胞内で、MAO-A活性が上昇し、それによりAsparagine endopeptidase (AEP)の活性が上昇することも見出した。AEP は、free radicalであるDOPEGALが過剰産生されることにより活性化される。このAEPは、Amyloid bata 1-42の産生を促し、hyperphosphorylated tauの産生にも関与することが報告されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進んでいるが、三叉神経中脳路核の関与についての研究は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究から、LC細胞の細胞死を引き起こす条件が明らかにされたことから、三叉神経中脳路核細胞のどのような活動が、どのようにそれらを制御できるかどうかを明らかにする実験に取り組む予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者が物品費を自分の科研費から支払い、実験の指導や監督及び論文作成が私の主な役割だったため。
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