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2023 年度 実績報告書

動的不斉を持つアライン中間体を経由する不斉合成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K06452
研究機関金沢大学

研究代表者

吉村 智之  金沢大学, 薬学系, 准教授 (20432320)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード不斉合成 / 不斉記憶 / キラリビアリール
研究実績の概要

現在までに報告されているキラルビアリール類の合成は、1)不斉クロスカップリング、2)非対称化または速度論的分割、3)アレーン環の構築を伴う方法、4)中心不斉を軸不斉に転写させる方法におおまかに分類できる。今回、これらの方法とは全く異なった概念、即ち「不斉記憶」に基づいたキラルビアリール類不斉合成法の開発に成功した。軸不斉が予め決まっているビフェノール誘導体と親アライン剤存在下、アルキル金属試薬で処理すると、系中でキラルベンザイン中間体が発生し、これが親アライン剤と[4+2]付加環化を起こすことで、光学純度を保持したままキラルビアリール類を合成することが可能となった。本条件を用いることで、光学活性なビナフトール、ビナフチルアミン、ビベンゾトリアゾール、ビインダゾール等の多様なビアリール化合物の合成にも成功した。いずれの反応においても、高い光学純度で生成物が得られるものの、収率が中程度にとどまるものもあった。しかしながら、適切な親アライン剤を用いることでユニークなビヘテロアリール類の合成が可能であり、これらの化合物は将来的にキラルリガンド等への利用が期待される。
反応機構についても検討したところ、2つのアリール環から同時にベンザインが発生して生じるビベンザイン中間体を経由しているわけではなく、段階的にベンザインが発生して反応が進行していることが強く示唆される結果が得られた。加えて、アルキル金属試薬にトリメチルシリルメチルマグネシウムクロリド、溶媒にTHFを用いると、光学純度の上昇が観測された。本条件における不斉増殖の詳細なメカニズムは明らかにできなかったが、光学純度が低い出発原料 (35% ee) から、光学純度が高い生成物 (98% ee) が得られる事から大変有用な反応条件を見いだした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Asymmetric Cycloaddition Reactions of Aryne Intermediates with a Chiral Carbon-Carbon Axis: Syntheses of Axially Chiral Biaryl Compounds2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshimura Tomoyuki、Onda Ken-ichi、Matsuo Jun-ichi
    • 雑誌名

      Organic Letters

      巻: 25 ページ: 8952~8956

    • DOI

      10.1021/acs.orglett.3c03983

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Aldol/Brook/Carbon Skeletal Rearrangement Cascade Reactions of β‐Silyl Ketones with Aldehydes2023

    • 著者名/発表者名
      Nowaki Aya、Kawano Mizuki、Hori Fuka、Fuse Yurika、Yoshimura Tomoyuki、Matsuo Jun‐ichi
    • 雑誌名

      European Journal of Organic Chemistry

      巻: 26 ページ: e202300351

    • DOI

      10.1002/ejoc.202300351

    • 査読あり
  • [学会発表] ロリオリドのジアステレオ選択的全合成研究2023

    • 著者名/発表者名
      吉村智之、虎前祐里佳、饒平名長人、高橋里彩子、松尾淳一
    • 学会等名
      第49回反応と合成の進歩シンポジウム

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公開日: 2024-12-25  

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