研究課題
基盤研究(C)
動的不斉を持つキラルアライン中間体を経由する、軸不斉ビアリール類の不斉合成法を開発した。キラルアライン前駆体と種々のアライノフィル存在下アルキル金属を作用させることで、発生したキラルアライン中間体が即座に環化付加を起こし、C2対称ビアリール類を最高 80% 収率と高い光学純度保持率で与えた。本反応は立体保持で進行することも明らかとなった。興味深いことに、ある種の条件下では不斉増殖が起こり、低い光学純度の出発原料 (35% ee) から目的生成物が 98% ee で得られた。
有機合成化学
従来、反応制御が困難であったアライン中間体は新規発生方法の開発や反応条件の精査により重要な合成手法の一つとなりつつある。このアライン中間体に不斉記憶の概念を適応し、不斉誘導反応へと展開することで、多様な軸不斉ビアリール化合物の創製に繋がった。本法の開発により、今まで合成が困難であった不斉ビアリール類創製に繋がる可能性があり、有機合成化学の分野のみならず、ヘテロアリール類を多く取り扱う医薬品化学分野にも多大な貢献をもたらすと考えられる。