研究課題
基盤研究(C)
本研究では、低分子化抗体ターゲティングシステムの開発につなげるために有機化学的な連結反応を利用するための基礎技術開発を実施した。抗原上の2つの異なるエピトープに結合する抗体に対して互いに反応する官能基を修飾すると、これらの抗体が抗原分子上に同時結合する際に、抗体間に共有結合が生じる。これによって、1価結合する抗体が2価の強固な結合をみせる分子へと変換される。蛍光団形成反応によってこのシステムの成立を実証した。
蛋白質工学
本研究の成果として新たに開発された抗原テンプレート反応は、当初目的とした低分子化抗体ターゲティングシステムの基盤技術としてさらなる開発を進めることで、従来抗体とは異なる特性を示す抗原結合モダリティの実用化につながる。このほかにも抗原分子上に結合した抗体表面での化学反応というシステムを、薬剤送達や抗原検出など多様な応用につなげることで、抗体が従来、医薬や生物科学に利用されてきた領域をさらに広げることができる。