研究課題/領域番号 |
21K06460
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
水口 貴章 北里大学, 薬学部, 助教 (30732557)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オキシトシン / オピオイド受容体 / 鎮痛薬 / ポジティブアロステリック効果 / バイトピック化合物 / 環状ペプチド / 二価型化合物 |
研究実績の概要 |
オピオイド鎮痛薬の不適切な使用に起因して薬物依存患者の増加や過剰服用による死者が増加するという社会問題がある。そのため、薬物依存性を示さず、かつ、効果的で安全な鎮痛薬の開発は、現在も重要課題に挙げられる。オピオイドμ受容体(MOR)のG protein-biased agonist活性をもつ化合物が重篤な副作用を軽減するという知見がある。本研究では、神経ペプチドであるオキシトシンのMORに対するポジティブアロステリック効果を活用するという独自の方法を用いることで、モルヒネと同程度の鎮痛活性を有し、依存性・呼吸抑制・便秘などの重篤な副作用を軽減したMORに対する新奇G protein-biased bitopic agonistを創製することを目指している。 本年度は、これまでの申請者らの研究で得られた知見を基に、MORのGタンパク質系シグナルを選択的に増強することが期待できる新奇化合物の合成を試みた。具体的には、オキシトシンのC末端とペプチド性MORアゴニストであるエンドモルフィン-1のC末端をジアミノリンカーで連結したヘテロ二価型化合物を合成した。研究目標を達成するため、ペプチド性MORアゴニスト、リンカーの長さ、リンカーの種類を種々に組み合わせたヘテロ二価型化合物を9種類設計して、実際に合成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス関連の感染予防対策のために、研究活動に一部制限が生じた時期があったが、本年度は、順調に研究目標に向けた化合物合成を実施できた。また、研究期間を2024年度にまで延長することについて承認を得た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に合成した化合物について、オピオイド受容体のGタンパク質系シグナルに対するポジティブアロステリック効果に対する機能評価を実施する。その結果を基に、さらなるオキシトシン誘導体とオピオイドμ受容体アゴニストで構成するヘテロ二価型化合物構造活性相関研究を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染予防対策により、研究活動に制限が生じた時期があった。そのため、次年度へ予算を繰り越すことにより、より効果的に、研究目的を遂行できると計画した。次年度は、本年度合成した化合物の機能評価を行い、より有用なヘテロ二価型化合物を合成する。
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