我々が独自に開発したキラルジカルボキシラート型相間移動触媒の機能を拡張し、Pd触媒のカウンターアニオンおよびC-H活性化段階の塩基として複数の役割を持たせることで、不斉C-Hフッ素化反応の達成を狙ったものの、これまで用いてきたジカルボキシラートそのものでは反応が進行しないことがわかった。そこで、新たに複合機能型キラルカルボン酸を設計し、その合成法を確立した。このものを用いることで、C-Hフッ素化反応を進行させることに成功した。 一方、電子不足アルケンのフッ素官能基化は未だ困難な課題であるが、我々のキラルジカルボキシラートを用いることで、ジフルオロアルケン類の不斉フルオロ環化反応に初めて成功した。
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