研究課題/領域番号 |
21K06487
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
浜田 翔平 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (00833170)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ニトロキシルラジカル / C-H酸化 / ベンジル・アリルアルコール |
研究実績の概要 |
ニトロキシル型触媒による酸化反応環境調和性に優れた酸化法であり、医薬品の工業生産にも利用されるが、アルコール以外の基質の酸化に適用されることは少ない。したがって、本触媒反応をアルコール以外の基質の酸化に展開することで、医薬品合成や天然化合物合成に新たな選択肢を与えることができる。本研究では、独自に開発したニトロキシル型酸化触媒を用いて、ベンジル・アリル位のC-H酸化を達成する。さらに高活性な触媒を創製し、不活性なアルカンのC-H酸化へと展開する。以上より、ニトロキシル型触媒の新たな反応性を見出すことを目的としている。 これまでに報告者が開発した電子求引基であるエステル基を2つ持つニトロキシル型触媒1を用いて、テトラヒドロナフタレン、インダンのベンジル位、シクロヘキセンのアリル位C-H結合の酸化によるベンジル・アリルアルコールの合成を達成した。一方、非環状のベンジル位の酸化についてはほとんど反応が進行せず、本触媒の限界も見えてきた。そこで、非環状のベンジル・アリル位や、ベンジル・アリル位のC-H結合より不活性なアルカンの酸化へと展開するため、より高い酸化活性が期待されるエステル基を4つ有する新規触媒2を合成した。現在のところ、合成法が洗練されておらず、少量スケールでの合成にとどまっている。したがって、アルカン等の酸化への適用ができていないが、本触媒がベンジルエーテルの酸化触媒として高活性であることを確認できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度計画していた触媒1によるベンジル位・アリル位の酸化反応について、基質一般性の検討等まで順調に研究が進展した。また、次年度に予定していた新規触媒の合成も一部達成し、触媒的な酸化が進行することを明らかにできた。一方、予定していたC-N、C-ハロゲン結合形成反応については検討できていない。これらを総合的に判断し、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
触媒1以上に高活性な触媒を用いた非環状のベンジル位C-H結合の酸化に加えて、アルカンのC-H結合の酸化反応へと展開していく。アルカンのC-H結合の酸化には触媒の高い酸化活性が必要なことが予想されるため、触媒2に加えて、さらに高活性な触媒の合成も進めていく。また、C-O結合形成のみならず、C-N、C-F結合形成へも展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
元々購入を予定していた機器が交付された金額で購入できなかったため、次年度使用額が生じた。本年度の研究の結果、次年度以降に元々計画していなかった触媒を合成する必要が生じたため、その合成用試薬や溶媒の購入費等に本年度の残額を当てる。
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