本研究では製剤中の残留溶媒である揮発性有機化合物(VOC)を針型濃縮デバイスを用いて捕集・濃縮してガスクロマトグラフ(GC)で迅速にスクリーニング分析する手法を開発している。 研究3年目である2023年度は主に粉末化した製剤試料を少量の水に溶解させ、針型濃縮デバイスを用いるパージ・トラップ(PT)法により残留溶媒を分析する手法の開発を行った。2021および2022年度に開発した、粉末試料をそのまま試料に用いて残留溶媒を捕集・濃縮する手法は、製剤の種類によって、残留溶媒の追い出し効率が異なっており、定量分析するためには、事前に製剤からの測定対象化合物の追い出し効率を把握しておく必要があった。一方で、PT法では製剤の種類による追い出し効率は変わらず一定であるため、純水を用いた検量線を作製しておくことで、種々の製剤中の残留溶媒成分の定量分析が可能であった。 本法はクラス3化合物に分類される親水性のVOCに対しては水からの追い出し効率が低く、測定感度が低いが、クラス1化合物の様な疎水性VOCの測定に特に適している分析法である。
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