研究課題
令和5年度は、令和4年度に構築したNanoLuc Luciferaseを用いた分子間相互作用解析系を用いて、薬物フリー状態、作動薬結合状態、逆作動薬結合状態におけるCARについて、補助活性化因子との相互作用解析を試みた。その結果、薬物フリー状態および作動薬結合状態の両方においてCARは補助活性化因子と強く相互作用することが示唆された。次に、PXRに関しても同様の系を構築したところ、薬物フリー状態および作動薬結合状態の両方において、補助活性化因子と強く相互作用することが示唆された。PXRの定常活性に関するこれまでの報告を考慮すると薬物フリー状態おける補助活性化因子との相互作用が強すぎると考えられた。さらなる詳細な検討が必要となったため、他の相互作用解析法の構築を試みた。そこで、GSTプルダウンを用いた分子間相互作用の高感度検出系の構築およびその利用について検討した。GSTはホモ二量体を形成するタンパク質であるが、このタンパク質に変異を導入することでヘテロ二量体を形成するように改変したGST変異体ペア (GST(+)およびGST(-))を設計した。また、GST(+)とGST(-)が選択的にヘテロ二量体を形成することを計算化学的手法および物理化学的手法により明らかにした。FKBP12とmTOR FRBドメインとの間のラパマイシン依存的な相互作用をモデルとして相互作用解析系の構築と妥当性を検証した。GST(+)-FKBP12/GST(-)-蛍光タンパク質複合体とMDP-mTOR FRB融合タンパク質を調製し、ラパマイシン存在下・非存在下においてMBP-mTOR FRBをベイトタンパク質として、GST(+)-FKBP12/GST(-)-蛍光タンパク質複合体をプレイタンパク質としてMBPプルダウンを行った。相互作用は蛍光タンパク質由来の蛍光および蛍光性のGSTの基質を用いて検出した。その結果、構築した高感度相互作用解析系の妥当性が示された。今後、PXRおよびCARへの適用を試みたい。
すべて 2024
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
The Journal of Biochemistry
巻: In press ページ: In press
10.1093/jb/mvae028