研究課題/領域番号 |
21K06499
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
山本 浩充 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (30275094)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 粉末積層化技術 / 乾式コーティング / 個別化医療 / コントロールドリリース製剤 / 微粒子コーティング |
研究実績の概要 |
多くの時間とエネルギーを消費する従来の湿式コーティングプロセスの代替となる高分子と薬物を粉末積層化し、それを加圧溶融することで放出制御能を有するフィルム製剤の開発に取り組んでいる。 昨年度までに腸溶性コーティング基剤、腸溶性コーティング基剤と水不溶性酸性高分子基剤(ポリ乳酸・グリコール酸)をハイブリッド化した基剤、水溶性高分子基剤からなるフィルム製剤を作成し、これらが腸溶性(耐酸性)や放出速度を遅延させることに成功した。 今年度は、昨年度までの知見をもとに、水溶性高分子基剤(ヒプロメロース)からなるフィルム製剤の製造プロセスのブラッシュアップと水不溶性高分子基剤(エチルセスロース)を用いたフィルム製剤からの溶出挙動について検討した。昨年度までの調製方法で製したフィルムは、曲げ特性が低く、少し応力を加えただけで破断してしまった。このため、可塑剤の添加が必須であった。そこで、フィルム作成時にこれまでよりも高い圧力を加えることで、高分子同士の溶融が進み、可塑剤未添加のフィルムでも曲げ特性に優れ、薬物放出制御能も兼ね備えた製剤を調製することが出来た。また、分子量の高い高分子を用いることによってフィルムのゲル化が生じ、水の浸透速度並びに薬物の拡散速度が遅くなり、薬物放出速度が遅延することを明らかにした。また、その遅延効果は分子量に依存し遅くなった。加熱温度・時間の最適化によりエチルセルロースを基剤とするフィルムも調製でき、本フィルム製剤ではpH非依存的な徐放性の薬物放出制御が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和5年度より学部の教務主任となったこと、薬学部のコア・カリキュラム改訂に伴うカリキュラムの再編作業など、大学内の業務にエフォートを割かざるを得ない状況となり、本研究に対するエフォートが下がってしまった。今年度も同様の状況ではあるが、業務内容の効率化などを進め、研究のエフォートを確保していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
複数の薬剤を内包した放出制御型製剤の設計手法を確立し、それらの製剤中の含量均一性ならびに各薬剤の溶出挙動を解析する。これにより本申請研究で進めている微細な薬剤粉末の放出制御製剤化ならびに個別化医療への適用性について検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までと同様、講座に備蓄されていた原料などを可能な限り用いて実施した。また、昨年度は学務の影響で研究エフォートを下げざるを得ない状況となったため、研究の進捗が遅れ、次年度使用額が生じた。 今年度は使用計画を立て、適切に予算を執行していきたいと考えている。
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