研究課題/領域番号 |
21K06504
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
戸塚 裕一 大阪医科薬科大学, 薬学部, 教授 (50312963)
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研究分担者 |
門田 和紀 大阪医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (50709516)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 吸入粉末剤 / フィトグリコーゲン / デキストラン / コンポジット粒子 / 噴霧乾燥法 / 噴霧凍結乾燥法 |
研究実績の概要 |
医薬品開発において、低分子化合物の経口投与以外による投与経路を利用した製剤開発が期待されている。経肺投与製剤は、薬効の発現が早く、気管支喘息などの肺局所治療だけでなく、全身性疾患治療にも応用可能な製剤である。本研究は、吸入粉末剤(Dry powder inhaler: DPI)に焦点を当てた研究であり、薬物を肺深部炎症部位に直接到達可能なキャリアの開発を到達目標として、キャリアの粒子径、粒子形状等の制御を行ったものである。 薬物と添加剤との間で複合粒子(コンポジット粒子)を作製し、粒子径や形状などの粒子物性を制御した粒子設計が課題であり、本年は生体適合性および安全性の高い添加剤として、高分子多糖類であるフィトグリコーゲン、およびデキストランに着目し、薬物との複合粒子調製を試みた。 新たな手法として噴霧凍結乾燥法(Spray freeze drying:SFD)に新たに挑戦した。SFDは試料溶液を液体窒素中に噴霧し凍結させ、凍結乾燥することで多孔質な微粒子を得る手法であり、本年度の研究成果として、種々デキストラン濃度における多孔質キャリアの創製に関して有用な新知見が得られた。 また、フィトグリコーゲンはグルコースが高度に枝分かれし、溶液中で樹状のような構造を持つ化合物であり、噴霧乾燥法によりマトリックス型の機能性を持った粒子が設計可能である。噴霧乾燥法では、フィトグリコーゲンを含有する水・エタノール混合液中からの処理を行うことから、小角X線散乱法及び動的光散乱法により、エタノール含量と粒子径の関係性について検討し、低エタノール含量下及び高エタノール含量下での粒子形状・粒子径の違いについても明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、以下の計画が大きな課題である。 (1)実験計画法による処方最適化、データマイニングによる最適調製条件改善 (2)調製粒子のin vitro物性評価・形態学的評価とin silico形態学的解析 前年度は(1)の課題について取り組み、実験計画法を用いてフィトグリコーゲンを基剤とした吸入粉末製剤について噴霧乾燥工程の最適化および肺胞への送達性向上条件について検討し実験計画法から応答曲面を生成し、肺胞への送達性を最も向上させたフィトグリコーゲン基剤の吸入粉末製剤を調製するための因子を最適化した。 本年度は、研究協力者のTERO博士の来日に伴い、in silico形態学的解析に関しての取り組みを開始している。また、新たな手法として噴霧凍結乾燥法(Spray freeze drying:SFD)に挑戦し種々デキストラン濃度における、多孔質キャリアの創製に関して有用な知見が得られ、その成果をModulating Pore Space Architecture of Ice-Templated Dextran Microparticles Using Molecular Weight and ConcentrationのタイトルでLangmuir誌へ公表した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度となるため、(2)調製粒子のin vitro物性評価・形態学的評価とin silico形態学的解析に挑戦していく予定である。in vitro物性評価・形態学的評価においては、共同研究者である門田博士との研究を展開させていく予定であり、特に形態学的評価について、最新の透過型電子顕微鏡を用いて研究を発展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の影響により、千葉大学での共同研究をほとんど行うことができず、粉体の物性測定や透過型電子顕微鏡測定に関して当初予定していた実験計画が行えなかった。最終年度には共同研究に精力的に取り組むため、消耗品・旅費も含めた有効的な使用が見込まれる。
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