本研究では、従来の薬物投与方法の既成概念にとらわれず、局所動態・薬効の特性に優れたDDS製剤を開発する斬新な発想に特色を有している。消化器領域では、内視鏡などをDDSへ応用する基盤が臨床面で確立されており、臓器表面への二層型シート製剤の貼付は、肝臓や脾臓など腹腔内臓器において十分可能である。様々な製剤材料を駆使して、体温下でゲル化する熱感受性の材料を活用することで、インジェクタブルなDDS製剤として、投与後のシート形成や温度などの物理刺激による薬物放出制御も期待できる。従来は重篤な副作用や安定性に問題がある抗癌薬においては、このようなDDS製剤により臨床での適用拡大につながる可能性がある。
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