研究課題/領域番号 |
21K06517
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
阿部 義人 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (60315091)
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研究分担者 |
山下 智大 九州大学, 薬学研究院, 助教 (30645635)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 抗P2X4抗体 / タンパク質工学 / タンパク質化学 / 大腸菌発現 |
研究実績の概要 |
本研究計画では、痛み受容体であるP2X4に対する抗体Fabの大腸菌発現量上昇に関するデータ収集およびリコンビナントFabを用いた応用研究であるP2X4機能抑制抗体の創製を目的とした。以前、我々は大腸菌から時間や手間暇のかかる巻き戻し系を使わずに、可溶性Fabを調製できる方法を確立し、さらに一アミノ酸変異を加えることにより、可溶性Fabの回収量を6~7倍増やした発現系を構築した。本年度は、さらに他の一アミノ酸変異を加えることで、発現量が増加する変異体の検出を試みた。その過程で増減を簡便に検出できる方法として、抗Fab抗体を用いたウェスタンブロッティングの改良法を開発した。さらに種々のアミノ酸変異を加えたことによる発現量の検討を行った。現在得られている回収量を上回る変異体は得られていないが、今後迅速に変異体の発現量を検討することができるようになった。さらに、各変異体の物理学的性質を分光法、結晶解析で検討するためにFabの精製も行なった。今後、発現量に影響しそうな変異体を作成し、検討を進めていく。また、ATP加水分解酵素と架橋試薬でつないだFabに関しては、P2X4発現細胞を用いたカルシウムイオン流入実験のプレ実験を行っているところである。本年度は科研費によって購入した結晶化用インキュベーター、実体顕微鏡などのX線結晶解析実験への準備が進み、今後結晶化条件の検討を行なっていく予定である。また本年度は、以前より共同研究をおこなっているタイ、チュラロンコン大学のワランヨー博士との植物発現抗体に関する共著がFrontier in Plant Scienceに2報受理された、また、九州大学薬学研究院植田教授との抗P2X4抗体の結合力の改良に関する共著がScientifc reportsに受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は大腸菌発現可溶性Fabの発現量検討法の検討を行い、今後、迅速にアミノ酸変異の影響を検討できるようになった。さらに現在、Fabの精製および物理化学的性質の検討等をおこなっており、またX線結晶構造解析に向けた結晶化条件の検討も行えるようになってきた。細胞表面上でのカルシウムイオンの流入に関しても、現在プレ実験を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は大腸菌発現可溶性Fabの発現量検討法の検討を行い、今後、迅速にアミノ酸変異の影響を検討できるようになった。現在種々の変異体の精製等をおこなっており、今後、物理学的性質の検討を行なっていく。FabとATP加水分解酵素の誘導体化抗体に関しては、誘導体調整後、細胞上へのP2X4への影響を見るなどの検討をおこなっている。今後さらに検討を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
第142回日本薬学会旅費(3/25から3/28)として残していたが、Web開催になったので、旅費金額分が残ってしまった。来年度いくつかの学会参加を考えており、その分の旅費もしくは研究費として使う予定である。
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