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2023 年度 実績報告書

ヒト皮膚ガス分析に基づくがんの評価方法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K06518
研究機関東海大学

研究代表者

関根 嘉香  東海大学, 理学部, 教授 (50328100)

研究分担者 平林 健一  富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (60514388)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード皮膚ガス / がん / 体臭 / 診断 / 非侵襲 / におい / ニューラルネットワーク / アルデヒド
研究実績の概要

癌患者には特有のにおいがあることが報告されている。本研究では、体臭の原因となる「皮膚ガス」に着目し、癌患者の皮膚ガスをパッシブ・フラックス・サンプラー法により捕集し、ガスクロマトグラフ-質量分析法により分離・定量して、癌患者に特徴的な皮膚ガス組成を明らかにすること、さらに癌の早期診断に寄与する簡便・非侵襲的な評価方法を開発することを目的とした。令和5年度は、癌の評価に有用な皮膚ガスバイオマーカーの探索のため、C2-C10アルデヒド類に焦点化した。C2-C10アルデヒド類は、皮脂中の遊離脂肪酸の酸化分解によって生成し、紫外線などの外的要因だけでなく、生体内で産生する活性酸素もその生成に関与することがわかってきた。活性酸素による酸化ストレスは、癌の発症や悪性化に寄与することから、C2-C10アルデヒド類の組成は癌の罹患によって変化する可能性が考えられる。そこで健常者、消化管癌患者、膵臓癌患者の皮膚ガスデータを用い、アセトアルデヒド(C2)、プロパナール(C3)、ブタナール(C4)、イソ吉草酸アルデヒド(C5)、ペンタナール(C5)、ヘキサナール(C6)、ヘプタナール(C7)、オクタナール(C8)、ノナナール(C9)およびデカナール(C10)を対象に皮膚放散量を群間比較した。その結果、ペンタナールの皮膚放散量は、健常者群に比べて癌患者群の方が有意に高く、ただし消化管癌群と膵臓癌群では有意差が認められなかった。プロパナール、ヘプタナールおよびノナナールも同様の傾向を示した。一方、ヘキサナールは膵臓癌群において有意に高い値を示した。またブタナールは消化管癌群で高い値を、イソ吉草酸アルデヒドは健常者群で高い値を示し、オクタナールは群間での差は認められないなど、成分毎に異なる傾向が見られた。この結果は、癌の発症および種別により特異的に変化するアルデヒドが存在する可能性を示唆する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] ヒト皮膚から放散するアルデヒド類の発生メカニズムに関する考察2024

    • 著者名/発表者名
      関根嘉香,戸高惣史,川西彩,森町将司,平林健一,加川建弘
    • 雑誌名

      東海大学先進生命科学研究所紀要

      巻: 8 ページ: 11-16

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 化学物質と健康:皮膚ガスの視点から2023

    • 著者名/発表者名
      関根嘉香
    • 学会等名
      (一社)大気環境総合センター令和5年特別セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒト皮膚から放散する微量生体ガスを情報として活用する2023

    • 著者名/発表者名
      関根嘉香
    • 学会等名
      (公財)空気調和・衛生工学会近畿支部環境工学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 皮膚ガスを情報として活用する2023

    • 著者名/発表者名
      関根嘉香
    • 学会等名
      皮膚ガスセミナー
  • [学会発表] 膵臓癌患者の体臭に寄与する皮膚ガス成分の推定2023

    • 著者名/発表者名
      関根嘉香,戸高惣史,川西彩,森町将司,平林健一,加川建弘
    • 学会等名
      第 36 回におい・かおり環境学会
  • [学会発表] ニューラルネットワークによる皮膚ガス組成を用いた癌評価法の検討(2)2023

    • 著者名/発表者名
      戸高惣史,関根嘉香,川西彩,森町将司,平林健一,加川建弘
    • 学会等名
      2023年室内環境学会学術大会
  • [図書] 皮膚ガスのはなしー体臭は心と体のメッセージ2024

    • 著者名/発表者名
      関根嘉香
    • 総ページ数
      136
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      4254103050
  • [図書] Comprehensive Sampling and Sample Preparation, second edition2024

    • 著者名/発表者名
      Yoshika Sekine, Daisuke Oikawa
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      Elsevier B.V.

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公開日: 2024-12-25  

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