研究課題/領域番号 |
21K06520
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
川口 里恵 (伊藤里恵) 星薬科大学, 薬学部, 講師 (90398892)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | かび毒 / アフラトキシン / 紫外線照射 / 動物飼料 |
研究実績の概要 |
食品の食べ残しは動物の飼料として再利用されることもあるが、この飼料がカビ毒に汚染されていた場合、家畜動物がカビ毒に曝露され、それを食品として摂取する人間への曝露が懸念される。過去には、アフラトキシン類(AFs)に汚染された飼料を摂取した牛の体内でAFsが代謝され、代謝物である AFM1 が牛乳中から検出されることが問題となった。そこで、飼料中あるいは食べ残し食品中でのカビ毒汚染を低減させることを目的に、その分解方法を検討した。食品中での分解検討に先立ち、AFs標準溶液を用いた光による分解を検討した。すなわち、長波長および低波長の紫外線を照射し、溶液中のカビ毒の量が減少するか測定した。測定には液体クロマトグラフィーを用い、検出器に紫外可視吸光度検出器および蛍光検出器を用いた。その結果、AFB1およびG1は照射開始から90分で約50%程度まで減少した。それに対し、AFB2およびG2は180分照射しても顕著な減少を示さなかった。B1およびG1は高波長照射と低波長照射において、照射波長による影響はほぼ観察されず、波長が異なっても分解しやすいことが明らかとなった。他方、B2およびG2においては、波長が異なっても分解しにくいことが分かった。食の安全性を確保するためにも、食品や動物用飼料を紫外線照射することで、カビ毒量を減らすことが可能であり、これはヒトへのAFs曝露量の低減化にも寄与するものと思われる。 現在は標準溶液を用いているため、紫外線のエネルギーは溶液表面のみならず比較的広い範囲に照射できると考えているが、紫外線が光であることから、食品に適用した場合、紫外線の照射範囲は限定され、より狭い範囲にあるAFsしか分解されないことが懸念されるため、照射方法を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の1年目と2年目の内容を入れ替えて進めているが、概ね順調に進展している。 1年目でアフラトキシンを光分解する目途がついたことは、今後の研究においても非常に重要になると思われた。
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今後の研究の推進方策 |
光照射は溶液のような透明な液体であれば、照射範囲は広くなるが、食品へ展開した際には、食品表面のみが光に照射され、容器と接している影になるような部分は光が当たらないことが考えられたため、現在は照射途中で何度か食品を混和する作業を加えて検討しているが、食品中では分解が適切に進まないことが多いため、検討中である。 また、当初計画の1年目で実施予定であった菌の培養時に紫外線を照射する系についても検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度末に注文する予定だった試薬の納品に時間がかかり、年度をまたぐことになったため次年度使用額が生じた。
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