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2023 年度 実績報告書

レーザー電場および高電圧パルスの波形デザインに基づくMALDIイオン生成量の増大

研究課題

研究課題/領域番号 21K06521
研究機関新潟薬科大学

研究代表者

星名 賢之助  新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (60292827)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードMALDI / CHCA / DHB / 遅延引き出し / TOFーMS / イオン再結合
研究実績の概要

マトリクス剤をCHCAおよびDHBとし,正負イオンモードのどちらでも信号試料が観測されるように,アスパラギン酸(Asp)を試料として選択した.引き出し電圧の条件を変えたMALDIスペクトル測定を行い,MALDI信号強度の変化を再現するモデルを構築し,その妥当性の検討を行った.
1)遅延引出し:前年度に引き続き遅延引き出しを変化させながらMALDIスペクトルを測定した.正負イオンの両モードでマトリックス関連信号,およびAsp信号の変化を解析したところ,すべての信号において,遅延時間に対して1次の依存性で減少することが見出された.時定数は,DHB,CHCAともに,正負イオン問わず150 ns程度であった.このことから,観測されるイオン信号のdecayは,正負イオンは近接したペアとして生成し,そのペアとして中性化していくと結論づけた.
2)引出し電場依存性:ペアの再結合は,引出し電場により阻止されるという観点で,引出し電場を通常設定(38 V/mm)に対して±50%変化させた測定を行った.その結果,電場の増加とともに,信号強度は増加する傾向が見出された.特に,両対数プロットにおいて直線関係となることが見出された.古典的なトラジェクトリ計算によれば,ある距離の正負イオンペアが再結合せずにイオンとして引き出される確率S(E)は,引き出し電場の大きさに対して,シグモイド関数に近いことが分かった.それに基づき,モデル構築を行い,S(E)=1-αE^nで再現することができた.DHBでn=1程度,CHCAではn=1.5~2程度となった.nが大きいほ立ち上がりがシャープな関数型となり,これはイオンペアの間隔の分布,および,イオンの移動度が関係していると思われる.
以上のように,MALDI信号の強度に大きく影響を与えるイオンペアの再結合のふるまいを,モデルを用いてパラメータ化することに成功した.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Ionization detection of neutral 2,5-dihydroxy benzoic acid molecules in the matrix-assisted laser desorption/ionization plume by ultraviolet laser post-ionization: Correlation between internal energy distribution and thermal decomposition rate2023

    • 著者名/発表者名
      Tatsuro Shirota, Kennosuke Hoshina
    • 雑誌名

      International Journal of Mass Spectrometry

      巻: 490 ページ: 117086

    • DOI

      10.1016/j.ijms.2023.117086

    • 査読あり
  • [学会発表] 紫外レーザーポストイオン化法を用いたMALDI法における相爆発過程の検証2023

    • 著者名/発表者名
      城田起郎,星名賢之助
    • 学会等名
      第70回質量分析学会
  • [学会発表] 小林将文,城田起郎,柘植雅士,星名賢之助2023

    • 著者名/発表者名
      MALDI法における凝縮相中プロトン移動反応モデルの検討
    • 学会等名
      第70回質量分析学会

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公開日: 2024-12-25  

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