本研究では、腫瘍内マクロファージの極性をM2型からM1型へ転換することで腫瘍内血管を正常化し、リポソーム製剤の腫瘍組織移行性を向上させることを試みた。また、リポソーム製剤の治療効果を事前に予測可能な診断法の構築にも取り組んだ。ジスルフィラムによる腫瘍内マクロファージの極性転換により、血管の特性が異なる2種の固形腫瘍に対するドキソルビシン内封PEGリポソームの移行性および抗腫瘍効果が増大した。また、ジスルフィラム前処置によるリポソーム製剤の抗腫瘍効果の増大の程度を予測するマーカーとして、CT26腫瘍については周皮細胞数、B16/BL6腫瘍については血管内皮細胞数が候補となる可能性を見出した。
|