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2021 年度 実施状況報告書

閉環-開環により蛍光応答を制御可能な近赤外シアニン型蛍光色素の創製

研究課題

研究課題/領域番号 21K06525
研究機関神戸薬科大学

研究代表者

高木 晃  神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (00758980)

研究分担者 奥田 健介  神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00311796)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード蛍光色素 / シアニン色素 / 開環閉環 / 近赤外蛍光 / ジアミン
研究実績の概要

本年度は当初の研究計画に沿ってモデル基質としてジアミン構造を含むシアニン色素の合成を試みた。求核剤と反応する脱離基を持つ既存の長波長シアニン色素であるCy7に対してスピロアミナール構造を容易に構築できると考えられるN,N'-ジメチルエチレンジアミンの導入を試みた。しかし、アミノ基が置換した後にさらにもう一つあるアミノ基が分子内環化し、インドレニンが脱離したと考えられる7員環生成物が主生成物として得られた。本化合物は目的とは異なるが蛍光特性を示すことが確認された。一方でN,N'-ジメチルプロパンジアミンを用いた場合には一方のアミノ基の置換のみが進行し、目的のジアミンが導入されたシアニン色素の合成を達成した。
さらに上述の得られた二種類の色素の蛍光特性の評価を行ったところ両化合物ともにStokes shiftが100 nm以上であることがわかり、当初の期待に反して得られた7員環分子は可視光、所望のジアミン導入分子は近赤外領域での蛍光を発することも見出した。後者の色素についてはpHによる閉環-開環制御に基づく構造変化を確認する目的でNMRスペクトルによる追跡を行った。その結果塩基で処理した際に構造が変化していることがわかり、再度酸で処理した場合に一部元の構造へと戻ることも明らかとなった。本結果より所望の導入したジアミン構造が当初の目的であるpHによる閉環-開環応答の制御に基づく可逆的な蛍光応答の達成に適した構造であることが示唆された。
今後、刺激応答性保護基の導入を目的として非対称基質を合成するとともに各種液性での閉環-開環を実現するべく基質合成や各種測定実験に取り組む。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究では当初予定していたジアミンとの反応では予想と異なる生成物が得られたが、こちらも興味深い蛍光特性が見られたため、検討の余地がある。代わりに炭素鎖の異なるジアミン分子を導入することで目的の分子の合成を達成できた。そのため引き続き計画の通り研究の遂行が可能と考えられる。

今後の研究の推進方策

目的通り得られたジアミンが導入された分子に関しては引き続き標的分子を認識可能な保護基の導入を行い、プローブ分子として利用可能な分子のデザイン・合成へと進める。
一方で当初の期待に反して得られた分子に関しても良好なStokes shiftを利用して新たな使い道を模索する。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していたモデル基質の合成が早期に完成したため、合成に必要な試薬・溶媒などの消耗品費の使用が少なかった。また、予想外に得られた化合物の物性評価も行っていたため測定実験の時間を多めにとっていたが、緩衝液などに用いる試薬類は研究室で大量に所有していたものを用いたため同様に使用する消耗品費が少なくなった。
一方で新たに得られた化合物を含めプローブへの応用のため次年度は合成実験に用いる試薬に使用する金額が多くなると予想されるためそちらへ充当する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Catalytic Intramolecular Cyclization of Alkynyl Cyclic Acetals via Chemoselective Activation Leading to Phenanthrene Core2022

    • 著者名/発表者名
      Yamada Tsuyoshi、Fujii Akiko、Park Kwihwan、Furugen Chikara、Takagi Akira、Ikawa Takashi、Sajiki Hironao
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1246/bcsj.20220036

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Could London Dispersion Force Control Regioselective (2 + 2) Cyclodimerizations of Benzynes? YES: Application to the Synthesis of Helical Biphenylenes2021

    • 著者名/発表者名
      Ikawa Takashi、Yamamoto Yuta、Heguri Akito、Fukumoto Yutaka、Murakami Tomonari、Takagi Akira、Masuda Yuto、Yahata Kenzo、Aoyama Hiroshi、Shigeta Yasuteru、Tokiwa Hiroaki、Akai Shuji
    • 雑誌名

      Journal of the American Chemical Society

      巻: 143 ページ: 10853~10859

    • DOI

      10.1021/jacs.1c05434

    • 査読あり
  • [学会発表] がん微小環境を標的とする4-フェニル酪酸バイオアイソスターの創薬化学研究2022

    • 著者名/発表者名
      北西悟司,高木晃,高嶋一平,大橋憲太郎,奥田健介
    • 学会等名
      日本薬学会第142年会
  • [学会発表] β-ケトエステル型ヒドラジン検出蛍光プローブの創製2022

    • 著者名/発表者名
      高木晃,重松春花,高嶋一平,奥田健介
    • 学会等名
      日本薬学会第142年会
  • [学会発表] 生体内金属による触媒回転を応用したシグナル増強型蛍光プローブの開発―新たなセンシング機構による微量金属の高感度検出―2021

    • 著者名/発表者名
      髙嶋一平,三浦佑介, 田島名菜, 松本信之, 高木晃, 奥田健介
    • 学会等名
      第71回日本薬学会関西支部大会
  • [学会発表] 栄養飢餓耐性を解除する(±)-Uvaridacol L の全合成と合成類縁体の活性評価2021

    • 著者名/発表者名
      臼口和希,高木晃,高嶋一平,奥田健介
    • 学会等名
      第63回天然有機化合物討論会
  • [学会発表] Fluorescent analyses of metals using cephem compound2021

    • 著者名/発表者名
      Ippei Takashima, Yusuke Miura, Eiji Nakata, Akira Takagi, and Kensuke Okuda
    • 学会等名
      the 12th International Symposium of Advanced Energy Science
    • 国際学会
  • [学会発表] 亜鉛触媒反応を応用した細胞内亜鉛イオンの高感度検出プローブの開発2021

    • 著者名/発表者名
      高嶋一平,井上陽平,松本信之,髙木晃,奥田健介
    • 学会等名
      第22回日本亜鉛栄養治療研究会学術集会(オンライン)

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公開日: 2022-12-28  

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