研究課題/領域番号 |
21K06529
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐藤 卓史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (70555755)
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研究分担者 |
森岡 弘志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (20230097)
山中 邦俊 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (90212290)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | トランスサイレチン / 線虫 / レドックス |
研究実績の概要 |
ATTRアミロイドーシスは野生型および変異型トランスサイレチン(TTR)が加齢に伴いアミロイド線維を形成して発症する難治性疾患であるが、加齢がどのようなメカニズムで発症に影響を及ぼすかは不明である。本研究では、細胞外環境の酸化還元(レドックス)バランス変化がATTRアミロイドーシスの加齢依存的な発症を制御するか線虫をモデル生物として明らかにすることした。申請者は、TTR単量体間での変性依存的なジスルフィド結合形成による二量体化がアミロイド形成の律速段階となることを発見している。本年度は、線虫に導入するTTRのジスルフィド結合二量体形成および凝集体形成を検出するための発光・蛍光レポーターを作製した。TTRのジスルフィド結合形成を検出するレポーターとしてNanoLuc Binary Technology (NanoBiT) を用いた。大腸菌より調製した組換えタンパク質を用いてレポーターとTTRの間のリンカー長の至適化を行い、酸化還元電位に応じて発光量が変化するコンストラクトの作製に成功した。次に、TTR凝集体形成を検出するレポーターとして、蛍光タンパク質(GFP、TagRFP)を融合したTTRコンストラクトを作製した。培養細胞からの分泌量を指標に蛍光タンパク質とTTRの間のリンカー長および配列の至適化を行い、細胞外分泌およびジスルフィド結合形成に影響を与えないリンカーを有する蛍光タンパク質融合TTRコンストラクトの作製に成功した。また、分担研究者の指導のもと線虫の飼育技術を習得して、蛍光タンパク質融合TTRを発現するトランスジェニック線虫の作製を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画した研究内容を全て実施することができ、線虫に導入するTTRの発光・蛍光レポーターの作製を完了した。また、次年度に予定していたトランスジェニック線虫の作製も先行して行っているため、次年度はスムーズに研究を進展させることができる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は蛍光タンパク質融合TTRを発現するトランスジェニック線虫を用いて、加齢依存的にTTRの凝集体形成が生じるか、TTR凝集体は線虫体内のどこに蓄積するのか、酸化ストレス処理によりTTRの凝集体形成が促進するかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
レポータータンパク質の調製、リンカータイプの条件検討が順調に進み、条件検討に要する高額な試薬を使用する量が予定より少なく済んだため、次年度使用額が生じた。研究は計画通り実施できているため問題はない。次年度は、線虫を用いた解析を本格的に実施するため線虫実験の試薬・備品の購入に充てる。
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