研究課題
生体膜糖脂質ガングリオシドは、生体膜マイクロドメインを構成する成分の一つとしてシグナル伝達に深く関わっており、肥満・糖尿病時に増加し慢性炎症の誘発・増悪に関与している。本研究では、申請者らが肥満モデルマウスにおいて見出した、レプチン受容体シグナル調節における生体膜糖脂質ガングリオシドの役割を明らかにするため、ガングリオシドのレプチン受容体に対する直接的作用、および共受容体制御を介した作用について検討を行う。これまで、レプチン受容体シグナル活性化をモニターするレポーターアッセイ系の構築を行い、阻害剤によるガングリオシド枯渇条件下におけるレプチン刺激後のSTAT3またはERK活性化の違いを見出していた。また、昨年度はレプチン受容体シグナルに負の影響を与える視床下部炎症に深く関わることが示されているミクログリアの活性化におけるGM3の役割の検討から、Toll様受容体TLR4のリガンドであるリポ多糖とHMGB1に対する応答性がGM3S KO細胞において著明に低下することを見出している。本年度は、その他のToll様受容体リガンドによる検討を行い、特異性について調べた。GM3S KO細胞においては、TLR1/2リガンドであるPam3CSK4やTLR3リガンドのPoly I:CによるTNF-alphaとIL-6産生がいずれもやや強まる傾向がみられた。一方、TLR7/8リガンドのR848、TLR9リガンドのCpGでははっきりとした応答性の違いは見られず、細胞膜ガングリオシドのTLR4活性化における役割が示唆された。
3: やや遅れている
KO細胞を用いて野生型細胞との比較検討を進めていたが、得られる結果の再現性などで試行錯誤したりと、予想以上に時間を要している。
GM3S KO細胞を用いた検討に加え、生合成酵素阻害剤による検討を加えて行う。また、生合成のフローが変わることで代替して発現する糖脂質分子種を測定・検討する。
本年度は、すでに購入していた抗体や試薬が利用できたことなどで予定より使用額が抑えられた。次年度においては、さらに必要な試薬等を購入していきながら効率よく進めていく。
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