研究課題/領域番号 |
21K06543
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山口 憲孝 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (80399469)
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研究分担者 |
高野 博之 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (60334190)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シグナル伝達 |
研究実績の概要 |
転写共役因子VGLL3とがん抑制シグナル経路Hippo pathwayとの関連について、がん形成・悪性化の観点から研究を行っている。これまでに、ヒト肺がん細胞株 A549を用いてVGLL3安定発現株を作製し、がん細胞におけるVGLL3の解析を行ってきた。その結果、A549-VGLL3発現株はHippo pathwayの活性化を伴いがん細胞の増殖性を増加する機能を持つことを明らかにした。さらに、昨年度は、VGLL3が転写因子HMGA2を誘導することでがん細胞の転移・浸潤の原因となる上皮間葉転換を促進することも明らかにした。今年度は、VGLL3によるがん細胞の増殖性促進機構について解析を行った。その結果、A549-VGLL3株では、オートファジーが活性化しており、このオートファジーが細胞増殖に重要であることを明らかにした。RNA-seq解析等によりA549-VGLL3株におけるオートファジー誘導機構の解析を行い、VGLL3の下流で誘導される新規ミトコンドリア因子が関与することを明らかにした。この新規ミトコンドリア因子の機能解析を進めたところ、このミトコンドリア因子はミトコンドリア活性を低下させることを見出した。また、このミトコンドリア因子は、VGLL3が高発現する悪性度の高いがん細胞において高く発現しており、オートファジーの誘導と細胞増殖亢進に寄与することを明らかにした。VGLL3の下流で誘導される新規ミトコンドリア因子によるミトコンドリア活性の低下がオートファジー誘導と細胞増殖に関与すると考え、現在解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
VGLL3のがん悪性化誘導機構について、すでに論文を三報発表しており(FASEB L, 2021; J Cell Mol Med, 2022; J Cellular Biochem, 2022)、さらにVGLL3の下流で誘導される新規オートファジー活性化分子も見出しているから。
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今後の研究の推進方策 |
新規ミトコンドリア因子によるオートファジーに着目して解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品のまとめ買い等により費用を想定よりも低く抑えられたため、次年度使用額が生じた。 今後は、繰り越した使用額を消耗品費にあて、研究活動を活性化する。
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