本研究では加齢依存性の疾患について老化研究で注目されているモデル生物であるアフリカメダカを用いて解析する。加齢による肝臓の組織学的変化を調べるために、2系統のアフリカメダカを用いて、初めに当研究室の飼育環境下での通常状態の寿命を調べた。その結果、2系統の間で初期発生の速度に大きな差は見られなかったが、一方の系統ではおよそ3ヶ月から多くの個体が死に始め、7-8ヶ月でほとんどが死亡した。他方の系統では、4ヶ月から10ヶ月程度の間で死亡し、異なる平均寿命を示した。この条件下で、次に、様々な週齢のメダカから肝臓を摘出し、加齢依存的な組織変化を解析した。非常に興味深いことに、加齢依存的に肝臓を構成する細胞内の様子が変化することを見出した。この変化を詳細に調べるために、オイルレッドO染色やシリウスレッド染色などを行ったところ、加齢依存的な脂肪滴と線維化の変化を見出した。さらに、加齢依存的に肝臓において腫瘍が形成された。また、加齢依存的な分子変化を調べるために、若齢と老齢の個体から初代培養細胞の単離を試みた。単離された細胞を観察したところ、両系統ともに、扁平形を示す老化細胞の数が加齢依存的に増加していた。
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