研究課題
基盤研究(C)
化学物質による影響を受けやすい膀胱における化学物質誘導膀胱炎や膀胱がんの発症について、生理活性脂質であるプロスタグランジン(PG)合成系に注目して解析を行った。本研究ではそれぞれPGE2、PGI2産生を担う酵素であるmPGES-1、PGISの遺伝子欠損マウスを用いてシクロホスファミドによる出血性膀胱炎、N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)-nitrosamineによる膀胱発がんにおける役割について検討し、これらの酵素が病態に深く関与することを明らかにした。
衛生薬学
化学物質曝露に伴う膀胱疾患の発症・進展に、PG類の産生が関わることが予想されるが、膀胱疾患の発症や進展とPG合成酵素との関連についてはほとんど解析が進んでいなかった。本研究によって化学物質による膀胱炎や膀胱がんの発症にmPGES-1およびPGISが関わることが示唆され、これらの疾患の治療標的となりうることが期待される。新たな作用機序の治療法となれば、治療の選択肢が増えることになり、社会的意義も大きいと考えられる。