研究課題/領域番号 |
21K06553
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
和田 戈虹 (孫戈虹) 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (00314427)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ミクロオートファジー / 小腸上皮細胞 / HOPS複合体 / 低分子GTPase |
研究実績の概要 |
初期胚組織VEでのミクロオートファジーには低分子量GTPase Rab7 の機能が必須であった(Kawamura et al. Nat Commun 2012)。そこで、小腸上皮系細胞でのミクロオートファジーにおけるRab7、ならびにRab7のeffector分子であるmVam2の必要性を検討する。 申請者はCre recombinase依存の組換えによってmVam2、rab7遺伝子が破壊できる条件的遺伝子破壊アリル(mVam2flox、rab7flox)を作出している。小腸上皮細胞特異的にCre recombinaseを発現するVillin-Creマウスを交配することで、小腸上皮細胞特異的Rab7、mVam2コンディショナル・ノックアウト(cKO)マウスを作製することが可能である。今年度、これらのコンディショナル・ノックアウト(cKO)マウスが樹立され、さらに、Rab7、mVam2両遺伝子のダブル欠損マウスの作製に成功している。現在これらの欠損マウスを用いて、小腸上皮細胞の形態、空腸、回腸での蛍光デキストランの取り込み、エンドソーム・リソソーム間の小胞輸送のマーカータンパク質の局在などについて、野生型と比較に表現型を詳細に解析を進めている。また、野生型とcKOの新生児の体重増加を測定すると同時に、血清中成分の量を測定し、腸管を介した栄養吸収の効率を比較する。さらに、in vitroの実験系を用いて液胞型ATPase阻害剤、タンパク質分解酵素阻害剤、脂質分解阻害剤、イノシトールリン脂質の変換阻害剤等を用いて、小腸上皮細胞の取り込みのメカニズムを解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定しているエンドソーム・リソソーム間の小胞輸送に関わる分子の小腸上皮細胞でのコンディショナル・ノックアウト(cKO)マウスの作製が順調に進行し、コンディショナル・ノックアウト(cKO)マウスが樹立されている。これらの変異マウスの表現型の解析も予定通り進めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
新生仔の小腸は活発にエンドサイトーシスをしている一方、生後2から3週令の仔ではエンドサイトーシスは顕著に低下して巨大リソソームも消失する。今後、小腸上皮のタンパク質発現変化を、トランスクリプトーム、プロテオームの手法によって詳細に解析し、ミクロオートファジーを支える分子機構を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度、RNAseq、トランスクリプトーム、プロテオームの手法によって詳細に解析し、ミクロオートファジーを支える分子機構を明らかにする計画である。現有の機材では実施できないため、外部に委託する必要がある。令和5年度の助成金と合わせて使用する予定である。
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