研究課題/領域番号 |
21K06556
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
藤田 英明 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (80291524)
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研究分担者 |
上田 亮太 長崎国際大学, 薬学部, 助手 (10881906)
藤井 佑樹 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (80610063)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | チロシナーゼ / メラノーマ / メラノサイト / メラノソーム / リソソーム / タンパク質分解 / ユビキチン |
研究実績の概要 |
(1)マウスにB16メラノーマを皮下移植し腫瘍を形成させ、その腫瘍に対して3種類のチロシナーゼ分解誘導化合物を直接塗布して、腫瘍サイズを測定することで抗腫瘍効果を評価したが、現在のところ有意差を示す化合物を見つけることができていない。薬物の投与濃度や投与間隔を検討している。また、B16メラノーマを尾静脈から投与した場合、肺に転移が認められるので、化合物を腹腔内投与することで肺転移を阻害できるかについて検討中である。 (2)チロシナーゼを分解に導く膜結合型ユビキチンリガーゼを同定しており、その作用機構について解析を行なっている。B16メラノーマを用いたshRNAを用いたノックダウンでは、チロシナーゼ・メラニンの発現量が増加することを見出した。HEK293細胞を用いたプラスミドトランスフェクションによる一過性発現では、チロシナーぜ分解には膜結合型ユビキチンリガーゼの膜結合ドメインが必須であることを見出した。現在、レンチウイルスベクターを用いた発現系の構築に取り掛かっており、安定発現細胞株やマウス初代培養メラノサイトを用いた機能評価実験を検討している。 (3)共同研究により、カイコを用いたチロシナーゼおよびTyrp-1の大量発現系を検討しているが、どちらも発現・精製量が十分ではなく、特に精製の手技に条件検討が必要である。さらに発現したチロシナーゼの分子量が予想と異なり、その原因を検討中である。コロナによる移動制限が緩和されつつあるので、共同研究者からの実験アドバイスを現地で受けることを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)マウス腫瘍形成実験を指導してもらう予定の共同研究者の異動(海外留学)により、当初計画より大幅に遅れたがようやく実験が稼働し始めた。別の学内共同実験者の協力も得られたので、尾静脈から肺への転移実験にも着手できた。 (2)膜結合型ユビキチン裏ガーゼによるチロシナーゼ分解の分子機構の一端を解明できつつある。 (3)チロシナーゼの発現・精製が進行していないため、化合物との相互作用測定が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
(1)マウス腫瘍形成実験において、化合物の投与量や投与タイミングの検討を行う。また、B16メラノーマを尾静脈から肺への転移を評価する実験系を立ち上げたので、こちらにおいてもチロシナーゼ分解化合物による転移抑制効果を検討する。 (2)膜結合型ユビキチンリガーゼによるチロシナーゼ分解分子機構に関する論文を投稿予定である。 (3)カイコの飼育設備を購入した。今後は自前でカイコ飼育を行うことで、大量のチロシナーゼタンパク質発現・精製のための条件検討を加速させる。
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