アスベスト曝露に起因する悪性胸膜中皮腫は特異的な分子標的治療の開発が立ち遅れている典型的な難治性腫瘍の一つである。我々は、疾患特異的分子の一つである小胞体膜上に存在するCKAP4を同定し、その細胞増殖制御機構を明らかとするとともに、当該経路の阻害活性を有する化合物を同定した。さらには、悪性胸膜中皮腫細胞の増殖に深く関与し、リン酸化を介したシグナル伝達経路の構成分子であることが明らかとなったOSF2タンパク質について、分子標的治療開発へつながることが期待されるOSF2の新たな受容体候補を同定した。これらの成果に基づいて、細胞増殖・ストレス制御機構を標的とする治療法開発を目指していく。
|