研究課題/領域番号 |
21K06569
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
葛原 隆 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (00260513)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インフルエンザウイルス / エピジェネティクス / アセチル化 / PA / ヒストンアセチル化酵素 / RNAポリメラーゼ |
研究実績の概要 |
インフルエンザは1918年のスペイン風邪の流行時に4000万人が死亡し、今でも多くの人が亡くなられていることから薬学的に極めて重要な課題である。抗インフルエンザ薬としては、タミフルやリレンザなどのノイラミニダーゼ阻害薬やゾフルーザのようにエンドヌクレアーゼ阻害薬が使われている。しかし、ウイルスの遺伝子は容易に変異するため、薬剤耐性ウイルスの出現などの問題がある。そこで本研究では、全く新しい作用標的として、インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼのアセチル化というエピジェネティックな制御のメカニズムを解明し、これを標的とする新規な抗インフルエンザウイルス化合物の探索を目指す。これまでに申請者はインフルエンザウイルスのヌクレオプロテイン(NP)やエボラウイルスのNPのアセチル化を見いだし、ウイルスにおいてもエピジェネティクスがあることを提唱してきている。その中でも、今回はインフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼが予備実験でアセチル化されること見いだしているので、タンパク質を用いた試験菅内の実験とインフルエンザウイルスと細胞を用いた実験により、そのメカニズムの解明と機能の解析を行うことを目的としている。PAアセチル化は試験管内では検出されたが、感染細胞では未検出である。そこで、実際に細胞内でPAはアセチル化されるのかを解析した。抗アセチル化リジン抗体を用いてPAを発現させた細胞においてアセチル化されるかを検討した。その結果、シグナルが検出され、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼPAサブユニットはアセチル化されている事が示唆された。これはウイルスのRNAポリメラーゼがエピジェネティクス制御を受けうるという新規な概念を提出する結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インフルエンザウイルスのPAサブユニットが細胞内においてアセチル化されていることを示唆する結果を抗アセチル化抗体を用いたウエスタンブロットを用いて見いだしたので。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,上記の変異タンパク質の生化学的・ウイルス学的解析からアセチル化修飾によるPAのエンドヌクレアーゼ活性の生物学的意義の解明について追及していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによる制限のため研究活動が制限されたため
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