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2021 年度 実施状況報告書

新型コロナウイルス認識T細胞の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K06570
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

宮内 浩典  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 副チームリーダー (50619856)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードTFH細胞 / 中和抗体 / 新型コロナウイルス
研究実績の概要

本年度では本格的なCoV-2認識T細胞解析の準備として、CoV-2抗原によるマウスの免疫と抗CoV-2認識抗体の解析、活性化ヘルパーT細胞の解析を行った。まず、哺乳類細胞系にCoV-2スパイクタンパク質発現プラスミドベクターをトランスフェクションすることで、リコンビナントCoV-2スパイクタンパク質を発現させ、導入したタグアミノ酸配列を用いて精製をおこなった。次に、精製したリコンビナントCoV-2スパイクタンパク質をアジュバンドとともにマウスに免疫した。1週間おきの2回の免疫の後、免疫マウスの血清を採取して、CoV-2スパイクタンパク質に結合する抗体量をELISAにて解析した。その結果、CoV-2スパイクタンパク質認識抗体が、免疫したマウスの血清中に誘導されることが確認された。さらにこれらの抗体にCoV-2の感染を抑制する機能があることを確かめる目的で、実際のCoV-2ウイルスを使用して、培養細胞系での中和アッセイを行った。CoV-2と希釈したマウス血清を培養細胞に感染させたところ、血清を加えなかった際には、認められたCoV-2タンパク質の発現上昇(感染の成立を示している)が認められなくなり、実際にCoV-2の感染が免疫によって誘導された血清中の抗体によって阻害されることが確認された。また、これらの免疫マウスのリンパ節では活性化したTFH細胞が多数認められた。これらのことから、確立されたこのマウス免疫実験系は、中和抗体産生B細胞を誘導するCoV-2認識ヘルパーT細胞の解析を行うのに適切なものであると考えられた。次年度以降、CoV-2スパイクタンパク質のオーバーラップペプチドを用いて、CoV-2スパイク認識TFH細胞の解析を行うことで、TFH細胞の性質とCoV-2感染防御抗体の関連について明らかにしていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CoV-2スパイクリコンビナント抗原によるTFH活性化実験系と中和抗体誘導実験系、さらには抗体の中和活性を評価するためのCoV-2感染培養実験系を確立することに成功し、次年度以降の本格的なヘルパーT細胞の解析に向けた準備が整ったため、研究計画はおおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

次年度以降は、CoV-2リコンビナントタンパク質抗原を投与したマウスよりTFH細胞を分離し細胞表面マーカーやサイトカイン発現を指標とした機能解析を行う。またこれらのマウスから分離したB細胞の遺伝子発現解析や機能解析を行い、それらの結果を統合することによってCoV-2認識B細胞を誘導するTFH細胞の性質を明らかとしていく予定である。さらに、CoV-2感染マウスを用いたTFH細胞の解析も視野に入ってきており、より実際のCOVID-19感染症に近い状態でのTFH細胞の挙動について詳細な解析が進められると考えている。

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公開日: 2022-12-28  

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