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2021 年度 実施状況報告書

パーキンソン病の新しいリスク遺伝子Midnolin(MIDN)の分子基盤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K06573
研究機関山形大学

研究代表者

小原 祐太郎  山形大学, 医学部, 教授 (40400270)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードパーキンソン病 / Midnolin (MIDN)
研究実績の概要

今年度は、山形大学医学部で行われている山形県コホート研究で得られた分子疫学データを用いて、パーキンソン病のリスク遺伝子であるMIDNの遺伝子異常について解析した。具体的には、山形市および近郊の高畠町の一般住民3000人分のゲノムのSNP/CNVアレイデータを解析した。その結果、MIDN遺伝子のCNVが1に減少(欠損)しているケース2例(男1人、女一人)を見出した(0.0662%)。欠損長は63Kbpおよび68Kbpと長く、どちらの例でもMIDN遺伝子の全域が欠損していた。以前に解析した英国人のデータでは1.64%の一般住民にMIDN遺伝子のCNVの減少が認められたが、それと比較すると山形におけるMIDNの欠損はかなり低い頻度であることがわかった。これまでの結果と合わせて考えると、山形県ではMIDNの欠損はパーキンソン病患者に多く認められ(10.5%)、一般の人ではその欠損がほぼ認められず、MIDNがパーキンソン病の原因遺伝子に近い性格を有することが考えられた。一方、英国では一般住民の1.64%にMIDNの欠損が認められることから、MIDNがリスク遺伝子としての性格を有することが考えられた。比較的頻度が高い2箇所のSNP (rs3760106 C>A, 5'-UTRに相当;rs3746107 C>T, 34Ala>34Alaに相当)に関しては、英国人よりも山形県民の方がSNPを有する割合が高いことが明らかになった。今後、MIDN遺伝子を欠損するパーキンソン病の臨床症状、家族歴、発症年齢、性別比などを調べていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は研究室の体制が大きく変わり、教室員の異動などもあったため実験計画に遅れが生じた。

山形県の一般住民3000人分のMIDN遺伝子に関する解析に関してはほぼ終了し、過去に解析した英国人のデータと比較すること出来た一方で、化合物スクリーニングの実験は次年度に行うことになった。

今後の研究の推進方策

次年度は前年度に得られた遺伝子解析データを論文として投稿し、採択されることを目指していく。

さらに、MIDN結合タンパク質の同定をLC-MS/MS法で試みるが、すでに公表されているデータベースや独自のRNA-Seqの解析データなどから結合タンパク質の候補が見つかっているので、MIDNとそのタンパク質との結合およびその機能に与える影響についても調べていく。

米国FDAにより承認されている2300個の化合物ライブラリーを用いて、MIDNの発現を促進する化合物のスクリーニングが行える状態なので、新しい作用機序を有する抗パーキンソン病薬の開発を目標に取り組む予定である。

次年度使用額が生じた理由

(理由)研究室の体制が大きく入れ替わり、実験計画に遅れが生じた。そのために、当初は今年度に行う予定だった化合物スクリーニングに関する実験が次年度に持ち越しになり、次年度使用額が生じた。残金を繰越し金として次年度に使用することにした。

(使用計画)次年度に化合物スクリーニングを行い、繰越金を使用する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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