研究課題/領域番号 |
21K06573
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小原 祐太郎 山形大学, 医学部, 教授 (40400270)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / Midnolin(MIDN) |
研究実績の概要 |
これまでにLC-MS/MS法およびRNA-Seq法によって得られたデータの解析から、MIDNタンパク質と結合すると推定される複数のタンパク質の解析を行った。その中でも特に神経細胞の分化に必須の転写因子であるEGR1タンパク質に着目した。神経のモデル細胞であるPC12細胞の核画分において、MIDNはEGR1と共沈降することが明らかになった。また、MIDNのN末端から100-200アミノ酸の部分がEGR1との結合に重要であることが示された。EGR1の転写活性をレポーターアッセイ法で定量すると、NGF刺激によってEGR1の活性が上昇したが、Midn遺伝子をゲノム編集で破壊するとその転写活性は大幅に抑制された。つまり、MIDNはEGR1と結合して、EGR1の転写活性を上昇させていることが明らかになった。
また、ニューロフィラメント軽鎖(NEFL)は、神経細胞の分化やその複雑な形態を維持するために必須の中間径フィラメントである。したがって、NEFLの発現に対するMIDN/EGR1の役割の解明を試みた。Nefl遺伝子のプロモーター活性およびNEFLタンパク質の発現レベルは、Midnのノックアウトにより大きく減少した一方、MIDNの過剰発現によりレスキューされた。さらに、ChIPアッセイにより、Nefl遺伝子のプロモーター部位にEGR1が結合することが明らかになった。
以上より、MIDNは転写因子EGR1に直接結合してその転写活性を上昇させ、Neflの遺伝子発現を促進していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は新しい研究室の人員増加や実験機器の整備状況が改善されて、実験が大きく進んだと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後については、ノックアウトマウスを使用して、in vivoでのMIDNの機能を調べていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究期間初年度に研究室の体制が大きく入れ替わったために、実験計画に遅延が生じた。昨年度と今年度に関しては研究面で順調に進展があったが、未だに初年度の影響を部分的に引きずっており、次年度使用額が生じている。
(使用計画) これまでに得られた成果を論文として投稿し、必要であればさらに追加実験を行う予定ために、繰越金を使用する。
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