研究課題/領域番号 |
21K06579
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
矢吹 悌 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (70756121)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | α-シヌクレイン / 液-液相分離 / 核酸高次構造 / グアニン四重鎖 |
研究実績の概要 |
α-シヌクレインはレビー小体病 (パーキンソン病、レビー小体型認知症など) 患者脳の特徴的な病理所見である細胞封入体の主要構成タンパク質である。α-シヌクレインは は正常な神経細胞ではシナプス前終末に局在しているが、レビー小体病患者脳内ではクロス β シート構造に富むアミロイド凝集封入体として細胞体にみられる (病原性獲得)。近年、病原性 α-シヌクレインはがプリオンタンパク質同様に細胞間を伝播し、正常型 α-シヌクレインはを病原性に変換することで病態を進行させることが示唆されている。つまり、レビー小体病では α-Syn が凝集し、細胞間を伝播することで脳全体に病巣が拡がり、病態が進行すると考えられる。根本治療薬開発のために、α-シヌクレインは凝集・伝播機構の解明は必要急務である。申請者は特殊な高次構造であるグアニン四重鎖を有する RNA (G4RNA) がプリオン性タンパク質のゾル-ゲル転移を促進することを報告した (Sci Adv. 2021)。本研究では、α-Syn 凝集・伝播機構における G4RNA の関与を検討した。α-シヌクレインにおける G4RNA 結合ドメインを同定し、G4RNA による α-シヌクレイン・ゾル-ゲル転移促進作用が消失することを確認した。申請者は光遺伝学を用いて、細胞内で G4RNA を会合する実験系を作製した。青色光の照射により G4RNA 会合を誘導すると α-シヌクレイン発現細胞およびマウス初代培養神経細胞において α-シヌクレインが共凝集した。また、G4 認識抗体を用いて α-シヌクレイン凝集に寄与する内在性 G4RNA を同定した。現在、マウス個体を用いた解析と内在性 G4RNA によるα-シヌクレイン・ゾル-ゲル転移促進作用について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
α-シヌクレインの N 末端側に G4RNA が結合することを同定し、G4RNA による α-シヌクレイン・ゾル-ゲル転移促進作用が N 末端欠損型 α-シヌクレインでは消失することを確認した。 青色光により細胞内で G4RNA を会合させると、α-シヌクレイン発現細胞およびマウス初代培養神経細胞において α-シヌクレインが共凝集した。α-シヌクレイン凝集に伴い、マウス初代培養神経細胞においてシナプス伝達機能の障害がみられた。アデノ随伴ウイルスを用いて in vivo マウス神経細胞において G4RNA を光会合させる実験を行っている。 G4 抗体である BG4 を用いた RNA 免疫沈降 (RIP)-seq 解析により、α-シヌクレイン凝集シーズである preformed fibril (PFF) を処置した神経細胞においてα-シヌクレイン凝集に寄与する内在性 G4RNA を同定した。その多くはシナプス関連分子の mRNA であった。現在、内在性 G4RNA の構造解析と内在性 G4RNA によるα-シヌクレイン・ゾル-ゲル転移促進作用を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
アデノ随伴ウイルスを用いて in vivo マウス神経細胞において G4RNA を光会合させることで α-シヌクレインが凝集し、神経機能障害を示すか確認する。内在性 G4RNA の構造解析と内在性 G4RNA によるα-シヌクレイン・ゾル-ゲル転移促進作用を検討する。G4 作用薬の抗レビー小体病作用をマウスモデルで検討する。
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