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2021 年度 実施状況報告書

性差解析を通した自閉スペクトラム症の病態分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06594
研究機関大阪大学

研究代表者

田熊 一敞  大阪大学, 歯学研究科, 教授 (90289025)

研究分担者 松崎 伸介  森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (60403193)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード自閉スペクトラム症 / バルプロ酸 / 性差 / マウス / 社会性障害
研究実績の概要

研究代表者らは,妊娠中の抗てんかん薬服用により出生児の自閉スペクトラム症 (ASD) リスクが増大するという臨床知見に着目し,代表的な抗てんかん薬であるバルプロ酸 (VPA) を胎生12.5日目に曝露したマウスにおいて,出生後に雄性のみが社会性行動の低下といったASD様症状を示すこと,ならびに大脳皮質の器質的および機能的変化が生じていることを見いだした.本研究は,ASD様症状を示した“雄性”の胎仔期VPA曝露マウスと,ASD様行動が誘導されなかった“雌性”の胎仔期VPA曝露マウスにおいて,VPA曝露後の胎仔&出生仔の脳内における神経生化学的および神経解剖学的変化を比較解析し,“性差”を指標として,ASDの中核症状様行動の発現に関わる誘導分子あるいは抑制分子を解明することを目的として立案した.令和3年度は,(1) 胎仔期VPA曝露によるASD症状において性差をもたらせる候補分子の探索と同定,および (2) 脳の性分化に関わる分子の胎生期VPA曝露による産生および発現変化の解明に関わる実験を計画し,研究代表者である田熊と研究分担者である松崎に加えて,研究協力者として研究代表者の教室で新規採用した講師1名,採用予定の教員 (助教1名) ならびに各教室に所属する学生・院生 (計4名予定) に参画いただき実施の予定であった.しかしながら,計画立案時に想定していた以上にコロナウイルス感染拡大の影響が大きく,さらに,研究代表者が利用する研究棟の改修工事の影響 (騒音と粉塵) も相まって,令和3年度は計画を大きく変更して実験環境の再整備と実験準備に留めた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

計画立案時に想定していた以上に,コロナウイルス感染拡大,および研究代表者が利用する研究棟の改修工事の影響 (騒音と粉塵)の影響が大きく,また,予定していた研究協力者の体制構築が充分にできなかったこともあり,研究計画を大幅に変更せざるを得なかった.なかでも改修工事の影響は非常に深刻で,上述の騒音と粉塵により行動解析や微量の標品調製は不可能であると判断せざるを得なかった.また引越による機器移動によるものと考えられる恒温保管庫 (フリーザーおよび超低温フリーザー) の故障が相次ぎ,このことも実験実施の支障となった.したがって,令和3年度末で改修工事が終了することを考慮し,令和3年度は実験環境の再整備と実験準備に留めることとした.

今後の研究の推進方策

令和3年度半ばに故障が発生した超低温フリーザーについては,本研究の標品保管において重要な機器であることより,最終の移設を終えた令和3年3月に本助成金により修繕を行った.令和4年度は,まず早急に行動解析の環境整備を行い,そのことと並行しながら,令和3年度の遅れを挽回することを目指して,ペースを上げて胎仔脳からの標品調製と神経生化学的解析を実施する.研究分担者である松崎は医師であり,まだしばらくの間はコロナウイルス感染予防の業務が多く見込まれる.したがって,研究代表者の教室におけるしっかりとした研究協力者の体制構築が今後の研究の推進方策において非常に重要な鍵を握ると考えられる.したがって,実験の遂行のみならず研究協力体制の構築にも注力する.なお,残念ながら令和3年度に研究協力者として全く機能しなかった講師の後任として採用する准教授1名に本研究へ協力していただけること,大学院生1名が新規参画することが現時点で決定している.

次年度使用額が生じた理由

計画立案時に想定していた以上に,コロナウイルス感染拡大,および研究代表者が利用する研究棟の改修工事の影響 (騒音と粉塵)の影響が大きく,また,予定していた研究協力者の体制構築が充分にできなかったこともあり,研究計画を大幅に変更せざるを得なかったため次年度使用額が生じた.令和4年度は令和3年度の遅れを挽回すべく実験を実施する予定であり,次年度使用額については,研究代表者および研究分担者ともに令和4年度の物品費として全額を使用する計画である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] バルプロ酸の胎内曝露による発達障害モデルの作製と新規薬物療法の追究2021

    • 著者名/発表者名
      田熊 一敞
    • 雑誌名

      子どものこころと脳の発達

      巻: 12 ページ: 26-33

    • DOI

      10.34572/jcbd.12.1_26

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Multiple alterations in glutamatergic transmission and dopamine D2 receptor splicing in induced pluripotent stem cell-derived neurons from patients with familial schizophrenia2021

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto K, Kuriu T, Matsumura K, Nagayasu K, Tsurusaki Y, Miyake N, Yamamori H, Yasuda Y, Fujimoto M, Fujiwara M, Baba M, Kitagawa K, Takemoto T, Gotoda-Nishimura N, Takada T, Seiriki K, Hayata-Takano A, Kasai A, Ago Y, Kida S, Takuma K, Ono F, Matsumoto N, Hashimoto R, Hashimoto H, Nakazawa T.
    • 雑誌名

      Translational Psychiatry

      巻: 11 ページ: 548

    • DOI

      10.1038/s41398-021-01676-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 神経発達障害モデルマウスにおける機械的アロディニアの発症とミクログリアの関与2022

    • 著者名/発表者名
      今戸瑛二, Samnang Sun, Abawa Abrar, 浅野智志, 中村庸輝, 中島一恵, 森岡徳光, 津賀一弘, 入舩正浩, 田熊一敞, 木口倫一, 吾郷由希夫
    • 学会等名
      第95回日本薬理学会年会
  • [学会発表] ASDモデルマウスの社会性行動と前頭前皮質の機能異常2022

    • 著者名/発表者名
      笠井淳司, 彌永祐輔, 植野寛貴, 中井悠花, 原雄大, 三浦大樹, 田沼将人, 林田美鈴, 横山玲, 大久保仁, 勢力薫, 早田敦子, 山口瞬, 北岡志保, 古屋敷智之, 吾郷由希夫, 中澤敬信, 田熊一敞, 橋本均
    • 学会等名
      第95回日本薬理学会年会
  • [学会発表] 胎生期バルプロ酸投与マウスは熱刺激およびカプサイシン誘発痛の増大と機械的アロディニアを示す2021

    • 著者名/発表者名
      今戸瑛二, 浅野智志, 中村庸輝, 中島一恵, 森岡徳光, 津賀一弘, 入舩正浩, 田熊一敞, 吾郷由希夫
    • 学会等名
      第139回日本薬理学会近畿部会
  • [学会発表] ヒト染色体3q29領域欠失を導入した自閉スペクトラム症モデルマウスの社会性行動異常はオキシトシンの投与により回復する2021

    • 著者名/発表者名
      竹本智哉, 馬場優志, 北川航平, 永安一樹, 勢力薫, 早田敦子, 笠井淳司, 吾郷由希夫, 田熊一敞, 橋本均, 中澤敬信
    • 学会等名
      第140回日本薬理学会近畿部会

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公開日: 2022-12-28  

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