研究課題/領域番号 |
21K06595
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
金子 雅幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (10322827)
|
研究分担者 |
高田 修治 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 部長 (20382856)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ユビキチンリガーゼ / RNF183 / 近位ビオチン標識法 / ノックインマウス / NKCC1 / 高浸透圧 / リソソーム / ユビキチン |
研究実績の概要 |
ユビキチンリガーゼRNF183は高浸透圧環境下で発現誘導されるが、なぜ集合管に発現するか、生理的な機能についてはまだ解明できていない。そこで本研究では、ゲノム編集によるノックイン技術を駆使して、ビオチンリガーゼをRNF183遺伝子にノックインすることで、近位ビオチン標識法によりビオチン化されたRNF183のユビキチン化基質タンパク質を生理的条件下で同定することを目的としている。 まず、RNF183遺伝子にビオチンリガーゼBioID2とFLAGタグをゲノム編集によりノックインするためのドナーベクターを作製した。ノックインした細胞を単離するため、蛍光タンパク質tdTomatoとBioID2-3×FLAG-RNF183との間をT2A配列でつなぐことで、tdTomatoとBioID2-3×FLAG-RNF183を別々に発現させることにした。HEK293細胞においてこれらの遺伝子を発現させたところ、tdTomatoとBioID2-3×FLAG-RNF183がそれぞれ独立して発現することを確認できたため、ノックインマウスを作製することにした。 また、これまで同定したRNF183の基質Na-K-2Cl共輸送体NKCC1について解析を行った。NKCC1はRNF183と結合し、RNF183によってエンドサイトーシスを誘導するK63型のポリユビキチン化を受けることが明らかとなった。さらに、細胞膜に局在するNKCC1がRNF183存在下では細胞内へ移行し、この局在変化は高浸透圧ストレスにより促進されることが分かった。また、RNF183によるNKCC1のタンパク質量の減少がリソソームの阻害で抑制されたことから、RNF183はNKCC1をリソソームに輸送することで分解を促進していることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ビオチンリガーゼのノックインマウスの作出が遅れたため、in vivoでの解析は予定より遅れたが、細胞を用いたRNF183の基質に関する解析は順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
ビオチンリガーゼのノックインマウスを用いてin vivoでの基質同定を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ノックインマウスのマイクロインジェクションを担当する研究分担先の研究員が産休のため、しばらくの間マウスの作出が進めることができなかった。この実験に必要な経費を次度に繰越し、次年度に行うことにした。
|