研究課題/領域番号 |
21K06602
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
溝口 広一 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (30360069)
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研究分担者 |
渡辺 千寿子 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (90296020)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 難治性掻痒 / μオピオイド受容体 / 末梢性作用 |
研究実績の概要 |
病態性慢性掻痒モデルとして、乾皮症掻痒モデルを確立した。マウス頚背部を抜毛し、抜毛部に1日2回11日間有機溶剤と水を塗布し、乾皮症掻痒モデルマウスを作成した。本乾皮症掻痒モデルマウスにおいて塗布後発現した掻痒行動は、抗掻痒薬であるκオピオイド受容体作動薬nalfurafineの皮下投与により有意に抑制された。また、nalfurafineの末梢性(中枢移行性のない)誘導体であるnalfurafine-methiodideの皮下投与によっても有意に抑制されたが、その抑制効果はnalfurafineよりも弱かった。以上の結果から、本乾皮症掻痒に対するnalfurafineの抗掻痒作用には、中枢と末梢の両方のオピオイドκ受容体が関与することが明らかとなった。現在、本乾皮症掻痒に対する、morphineを含む各種μオピオイド受容体作動薬の皮下投与・経皮投与による抗掻痒作用を検討中である。 マウス頚背部皮膚におけるμオピオイド受容体の発現を確認した。乾皮症掻痒モデルマウスの掻痒部にあたる頚背部の皮膚を採取し、皮下組織を除去した後、皮膚組織から抽出したRNAを用いてRT-PCR法により、exon-1含有μオピオイド受容体スプライスバリアントの発現を確認した。現在、皮膚組織から抽出したRNAを用いて、exon特異的各μオピオイド受容体スプライスバリアントの発現を検討するとともに、発現が認められたexon-1含有μオピオイド受容体スプライスバリアントに関して、乾皮症掻痒発現時におけるその発現量の変化を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
薬剤性腎障害誘発性掻痒モデルの確立に時間を要している。また、皮膚炎掻痒の動物モデルを、当初予定していたアトピー性皮膚炎掻痒モデルから接触性皮膚炎掻痒モデルに変更したことから、そのモデル動物の確立に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
研究施設規則の変更により、予定していたアトピー性皮膚炎掻痒モデルの実施が不可能となった。そのため、動物モデルをアトピー性皮膚炎掻痒モデルから接触性皮膚炎掻痒モデルに変更した。 接触性皮膚炎掻痒モデルと薬剤性腎障害誘発性掻痒モデルを確立し、既に研究を実施している乾皮症掻痒モデルと同様に、接触性皮膚炎掻痒モデルおよび薬剤性腎障害誘発性掻痒モデルにおいても、当初予定の研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
皮膚炎掻痒の動物モデルを、当初予定していたアトピー性皮膚炎掻痒モデルから接触性皮膚炎掻痒モデルに変更することを余儀なくされ、モデル動物の確立開始が若干遅れたことから、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、次年度にモデル動物を確立する際に使用する。
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