研究課題/領域番号 |
21K06610
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
山本 直樹 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (90393157)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エンドサイトーシス / 錐体外路障害 / アストロサイト |
研究実績の概要 |
本研究は、薬剤性錐体外路症状(DI-EPS)を誘発するさまざまな薬剤を初代培養ラットアストロサイトおよびマウスに投与し、その後のアストロサイトのエンドサイトーシス異常とDI-EPSとの因果関係を明らかにする。また、その因果関係に基づいた治療・予防法を見出し、臨床応用の足がかりを築くことを目的に検討を開始した。まず、アストロサイトのエンドサイトーシス異常とDI-EPSの因果関係の証明するために以下の検討を行った。 1.初代培養ラットアストロサイトに、DI-EPSを誘発する以下の薬剤(もしくは、DI-EPS発症の報告有り)を投与した。その後の各薬剤のアストロサイトへの細胞毒性を検討した。使用した薬剤は、ハロペリドール、バルプロ酸、ドネペジル、ラニチジン、レセルピン、タンドスピロン、テガフールである。投与した結果、細胞毒性に強弱はあるものの濃度依存的に効果を示した。 2.古くから副作用にDI-EPSを誘発することが知られているハロペリドールは、以前の検討において、アストロサイトに特異な形態変化をもたらし、エンドサイトーシス異常を誘発することを報告しており、その過程においてErkタンパク質をリン酸化することを見出している。上記薬剤においても同様の結果が得られつつある。 3.エンドサイトーシス異常を調べるために、オートファゴソームの指標タンパク質であるLC3とエンドソームの指標タンパク質(Rab5, Rab7など)の発現変化の検討を開始し始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の当初の研究実施計画にあった初代培養アストロサイトによる検討は、順調に遂行することができている。しかし、本研究計画を発展させるための学会参加による情報収集が、大学業務ならびにコロナウイルス感染対策等により円滑に行えなかった。この部分について補うため、本研究に関係する研究者とのコミュニケーションを図った。その甲斐あって、当初の研究計画には無かった研究事項も加えて遂行することができている。
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今後の研究の推進方策 |
1.生化学的解析(in vitro):ウエスタンブロット法を用いて、引き続きエンドサイトーシス異常を調べるために、指標蛋白の発現変化を調べる。また受容体の安定化や蛋白等の取り込みに関与するGM1ガングリオシド(GM1)の発現の変化についても調べる。 2.免疫細胞学的解析(in vitro):1.で検討したエンドサイトーシスに関連する指標蛋白およびGM1について、アストロサイト細胞内における分布を調べる。 3.野生型マウスに、DI-EPSを誘発する薬剤を投与し、以下の検討を行う。 生化学的解析(ex vivo):ウエスタンブロット法をもちいて、脳内におけるエンドサイトーシスに関連する指標蛋白およびGM1の発現変化について同様に調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度の研究実施計画が、若干の遅れは生じているもののおおむね順調に行うことができたこと。また、研究代表者が所属する施設内での業務ならびにコロナウイルス感染対策等に少し時間を取られた。以上のことより、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 1. 本年度に引き続き、ウエスタンブロット法にて、エンドサイトーシス異常を調べるために、指標蛋白の発現変化を調べる。また受容体の安定化や蛋白等の取り込みに関与するGM1ガングリオシド(GM1)の発現の変化についても調べる。 2.野生型マウスにDI-EPSを誘発する薬剤を投与し、ウエスタンブロット法をもちいて、脳内におけるエンドサイトーシスに関連する指標蛋白およびGM1の発現変化について同様に調べる。進行状況によっては、錐体外路系周囲のアストロサイト細胞内における分布を調べる。更には、神経細胞についてはアポトーシス等の細胞死に関わる影響も調べる。
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