研究課題/領域番号 |
21K06622
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
中島 健一 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (70635135)
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研究分担者 |
中島 純子 (富田純子) 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (10454323)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 天然有機化合物 / mRNA-seq / 核内受容体 |
研究実績の概要 |
2023年度は、前年度から引き続きヨウシュコバンノキの成分検索を継続して進め、これまでの研究成果を論文としてまとめて報告した(Beilstein J. Org. Chem. 2023, 19, 1604-1614)。また、新たにミカン科マツカゼソウのエキスから14種のクマリン誘導体を単離し構造解析を行った。マツカゼソウから単離したクマリン誘導体のうち、2種はクマリン二量体、残り12種はクマリン単量体であり、その中には本植物成分に特有の構造を有する化合物も複数存在した。また、その他の植物成分についても成分研究を進め、多数の特徴的な構造を有する化合物の単離に成功している。今後、これまでに単離した植物および植物内生真菌の二次代謝産物について、mRNA-Seqやマイクロアレイ等の網羅的な解析を用いて生理機能の検証を実施する予定である。 また、これまで本プロジェクトにて単離した化合物について、ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いた核内受容体アゴニスト活性の検証も行った。その結果、ある種の核内受容体にリガンド活性を有する化合物を新たに見出した。現在、そのリガンドについてさらなる検証を進め、生理機能の解明を目指した研究を実施している。本化合物についても、今後mRNA-Seqを実施することで、生体内における遺伝子発現に与える影響について明らかにし、化合物の有用性や安全性に関して検証する予定である。また、本化合物に関しては受容体-リガンドドッキングシミュレーション等を用いて、受容体との結合様式について考察を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は研究室体制の変化などの影響により本研究へのエフォートが低下してし、研究の進度に遅れが生じている。一方で、化合物の単離や条件検討など、次の研究段階への準備は着実に整っており、2024年度は前年の遅れを取り戻せると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
mRNA-Seqの実施が遅れているため、2024年度はmRNA-Seqやマイクロアレイを用いた網羅的解析とパスウェイ解析を最優先で行う。また、これまでの予備検討において、生理活性が見出された化合物が数種あるため、それについてさらなる検証を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、1)研究の進度が遅れていること、2)次年度に持ち越すことのできない講座研究費を優先的に使用したことから交付された助成金をほとんど使用せず余剰が生じた。研究に遅れは生じているが、着実に進展はしており、概ね当初の計画通り進める予定である。残分の大半は、当初2023年度までに実施予定であったmRNA-seqの委託費として2024年度上半期を目処に使用する予定である。また、解析データの詳細な検証のため、分子生物学研究用の試薬費等に用い、研究成果の報告につなげたいと考えている。
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