研究課題/領域番号 |
21K06624
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
中村 賢一 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (70512002)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | C-配糖体 / 腸内細菌 / 代謝酵素 / 生薬 |
研究実績の概要 |
漢方薬は熱水で煎じて服用するため、その煎液には、親水性の配糖体成分が多量に溶出している。経口摂取した配糖体は消化管上部からは吸収されにくく、消化管下部において腸内細菌による種々の代謝を受けた後、アグリコン等の代謝物が体内に吸収される。そのため、腸内細菌による配糖体の代謝は、漢方薬の薬効発現と密接に関わっていると考えられている。 配糖体の一群には、アグリコン部と糖部が直接C-C結合したC-配糖体も含まれる。C-配糖体は化学的に安定であるが、一部の腸内細菌はC-配糖体のC-C結合を開裂し、アグリコンを生成することが知られている。これまでの研究から、研究代表者は、生薬カッコンに含まれるイソフラボンC-配糖体のpuerarinを代謝する腸内細菌由来の酵素群を同定している。本研究の目的は、これまでに同定例の少ない腸内細菌由来のC-配糖体代謝酵素の機能を詳細に解析することである。 2022年度は、2021年度にpuerarin代謝酵素を基にホモロジー検索により得た2種類の新規C-配糖体代謝酵素の候補遺伝子(C-配糖体の糖部分3位ヒドロキシ基が酸化された3-oxo体を、アグリコンに代謝する酵素)について、機能の解析を行った。具体的には、人工遺伝子合成により候補遺伝子を得た後、定法に従い、pETベクターと大腸菌を用いて酵素の大量発現系を構築した。種々の基質を用いて酵素の活性を評価した結果、一部の基質に対して、酵素活性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、昨年度の実施状況報告書に記載した「今後の研究の推進方策」に従い実験を行った。しかし、昨年度の遅れを取り戻すほどの進展ではないため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に得た2種類の新規C-配糖体代謝酵素について、より詳細な酵素機能の解析を行う。また、2022年度と同様の手法により、新規C-配糖体代謝酵素の探索と機能解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した実験機器が当初想定見込み額よりも安く購入できたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、消耗品費として使用する予定である。
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