研究課題/領域番号 |
21K06626
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
當銘 一文 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (80563981)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生薬 / ニクジュヨウ / センブリ |
研究実績の概要 |
本研究は多成分系である和漢薬の成分を包括的・多面的に理解することを目的として,従来から行われているHPLC法による成分プロファリングとともに,NMRによる成分プロファイリングを導入し,和漢薬成分を理解することを目指した. ニクジュヨウについては,HPLCによる成分プロファイリング法・主要成分の定量を行った.また,NMRによる成分プロファイリング研究を進めた.ニクジュヨウ市場品を用いて,成分プロファイリングのための諸条件について検討を行った結果,CD3OD中で測定した1H NMRスペクトルにおいて主要成分であるacteoside,echinacosideのシグナルは十分な感度をもって検出されることを確認し,これらの量の大小を簡便に見積もることができることがわかった.また,これらのシグナルを用いてacteoside,echinacosideの定量NMR法による定量分析の可能性が示唆された.上記の方法を用いてニクジュヨウの市場品および基原植物であるCistanche tubulosa,C. salsa,C. deserticola,および近縁のBoschniakia rossicaの抽出物について検討したところ,個体差は大きいものの中国新疆ウイグル自治区産のC. tubulosaにおいてechinacosideなどのフェニルエタノイド類の含量が高いことを見出した.今後,検体数を増やして解析を進める. センブリについては,当研究室の別の研究プロジェクトにおいて組織培養-圃場栽培法の開発を進めている.作出物と市場品の品質評価を行うため,swertiamarinなどの主要11成分についてHPLC法による定量分析を検討した.その結果,組織培養-圃場栽培株は市場品の生薬や,水耕栽培株に比べてswertiamarinなどの含量が高い傾向があることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニクジュヨウについてはNMR法を用いた成分プロファイリング条件について概ね確立できた.現在,手法の最適化を進めている.また,HPLC法による主要成分についても問題なく行えることを確認済みである. センブリについては,HPLC法による主要成分の定量が終わり,組織培養-圃場栽培による作出物が日本薬局方の基準を満たすこと,市場品生薬より含量が高い傾向があることを確認した. 以上のことから期間内に研究計画を遂行することができると考えており,研究は概ね順調に進行していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い着実に研究を遂行する.ニクジュヨウについて,検体数を増やしNMRによる成分プロファイリングを進めるとともに,ニクジュヨウに含まれる骨格筋機能改善作用をもつacteoside,echinacosideを中心としたアクテオシド類の定量NMR法による定量分析条件を確立する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は,コロナ禍により学会出張がなくなったことと,前年度までに購入していた試薬,溶媒等を使用することで研究を進めることができたため,使い切りを行わず,物品費の一部を次年度に繰り越しすることとしたため,次年度使用額が生じた.
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